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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 2
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たらしたふたりの道士を歓待してささやかな宴会がひらかれた。
包囲され補給もままならない中なので、出される食事はおもに現地で取れたものを食材に作られた素朴なものであったが、魚介類とモヤシ入りのお粥など、むしろ日本人好みの純朴な味がして秋芳と京子の舌には合った。
空腹時などに飲食する夢をよく見る。だが、たいていの場合はなにを食べても飲んでも味のしない、無味乾燥としたものだ。
だがこの呪具によって生じた夢はそんなチンケなものではないらしい。なにせ普通の夢のように自身の意識や経験のみから生まれる夢ではないのだ。阿頼耶識や集合無意識に、古今東西の不特定多数の人々の広大な精神世界につながり、それをもとに構成されている。本人が経験したことのない、はじめての味だって知覚できる。
宋の陣に慈雨を降らし、元の陣をなぎ払った嵐はとっくの前に消え、満天の星々が漆黒の空を飾っている。そんな銀のしずくが降りしきるような星空の下、崖山の一角にある切り立った岸壁の上に寝台を作り秋芳と京子が横たわっていた。
「どうせなら平和で豊かだった宋の前半期に行きたかったなぁ。豪壮な宮殿、灯火の輝く酒楼、夜でも人々のあふれる街中、整備された下水路、千人以上が入れる劇場や高さ百メートルを超える開宝寺の舎利塔……。宋の国都である開封は世界でもっとも進んだ大都市だったんだ」
「なにかの本で読んだんだけど、宋の時代の中国って全世界の国民総生産の半分をしめていたんでしょう? すんごい経済大国だったのね」
「経済だけじゃなく文化レベルもたいしたものだった。同じ時代のヨーロッパの連中が上流階級でも手づかみで食事をし、排泄物はそこいらに垂れ流していたのとは大ちがいだ。……座る時と立つ時は左から、カトラリーは外側のものから使う、ナプキンは最初のオーダーの後、ドリンクが運ばれてくる前にふたつ折りで膝の上に置く、襟元にかけるのはダメ、中座するさいは椅子の上か背もたれに軽くたたんで置く――。まったく箸も使えないような『野蛮人』どもがテーブルマナーとか、笑わせてくれる」
「あら、それじゃあ母国の食事マナーは完璧? こんど和食のお店に連れてって正しい作法を見せてちょうだい」
「……気どらないお店にならどこだって連れて行くが、お高い場所はかんべんしてくれ。西洋料理に限らず、あの手のマナーはどうも苦手だ」
日本料理にもとうぜん作法というものが存在する。たとえばまず主賓が箸を取って食べてから自分も箸をつけ、周囲の人の食べるペースに合わせて食べる。
食事の順番は汁からご飯、なま物、煮物、小皿の順でひととおり味わってから、すべての料理をまんべんなく食べ進める。
苦手な料理は箸をつける前に下げてもらう。
お椀のふたは器を置いたままとって右側に置く。
刺身などのなま物は身に
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