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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 2
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軍船の二千や三千などすぐに建造できます。四十年以上も元朝に逆らい続けた南人どもをこき使ってやればいいのです。永久に反乱など起こさせぬように」
「船だけを惜しむのではない、それを指揮し動かす人員も惜しんでいるのだ。物はともかく人はすぐには育たぬ。第二次日本遠征のためにも船と、船員が欲しい。あの黄金の国を手に入れる助けとなる」
黄金の国ジパング。莫大な金を産出し、宮殿や民家の屋根や壁は黄金でできている――。そのようなことをうそぶく西洋人の旅行家がメデフグイの食客にいるという。
およそ信じられる話ではない。たしかに日本は宋との貿易では金子で支払をして、わざわざ銅銭を金で買ったりまでしていたので、金が採掘されるのはたしかだろうが、黄金の国などと、それは誇張しすぎだ。
「それだけではない、秦の始皇帝の遣わした徐福が富士という霊山に不老不死の霊薬を隠したという話も聞く。それを見つけだしたい」
徐福などと、そんな千五百年も昔の伝説を本気で信じているのか。張弘範らは内心をあらわにし、あきれ顔を作らぬよう努力する必要にせまられた。
「そこで考えがある。宋は軍船を鎖でつなぎ合わせて一つの要塞のように仕上げたそうだが、これは水上に陸地を作ったようなものではないか。水上戦では一日の長がある宋が船の持つ機動力をみずから封じて我らモンゴルを始め河北の兵が得意とする陸上戦の舞台をととのえたのだ、敵の地の利は我らの地の利でもある」
「なるほど」
たしかに一理ある。この変人王太子、まともなことも言えるではないか。
「しかしそこにどう上陸するのが問題です。最初の戦いでわかりましたが、宋軍は蒙衝や先登などの小回りが利き足の早い小型船も数多く所持しており、我が軍が持つ船には数と種類に限りがあります。船戦にも長けている宋軍の攻撃をかいくぐって水上要塞に突入するとなるとかなりの犠牲を出しましょう」
「要塞には要塞をぶつける。いや、なにも宋のように船をつなぐ必要はない、大量の浮き物をつなぎ合わせて足場を築き、それに乗って進軍するのだ」
海の上に道を作れと言っているのだ。
「それは、なんとも気宇壮大な策ですな……」
だがまんざら荒唐無稽な作戦ではない。実際に元寇のさいには大陸と日本との間に大量の船を浮かべて橋にし、進軍するという計画があったという。
「お待たせしました、いつでも法力を披露できますぞ」
そうこうしているうちに方臘の準備がととのったようだ。
「まずは挨拶がてらに宋の残党どもをおどろかせてやりましょう――むんっ!」
真剣な顔立ちで呪文を唱え始めた。
「――清浄光明、大力智慧、無上至真、摩尼光仏――」
摩尼教に伝わる真言が陰々とつむがれる。
やがて日が陰り風が強まると遠くから雷鳴が聞こえた
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