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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 2
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、かなり大ざっぱな憶測だ。
 一日は二四時間。一時間は六〇分、二四時間は六〇分×二四で千四四〇分。
 これを秒に直すと――。
 八六四〇〇秒。
 つまり八万六千四百年。

「は、はちまんろくせんよんひゃく年……」
「うむ、数字だと86400年。……なんというか、ちょっとした人類が生まれて滅亡するくらいの期間だな」
「そのちょっとした人類発祥から滅亡までの時間をここで、この世界で過ごすまでは目が覚めないってこと?」
「いや、まだそうと決まったわけじゃないし、いざとなれば強引にこの世界の防壁を破ってもとの世界へ、目覚めることもできるが」
「でも危険なんでしょ?」
「まぁ、な。なにせ精神に働きかけるタイプの呪具だし、正しい使い方をしないとどんな副作用や障害が発生するかわからん。プログラムの強制終了は最後の手段だ」
「ふぅ……、まさか過去に飛ばされた先ではるかな未来まで時間をつぶすはめになるだなんて思っても――」

 その時、京子の身に落雷に打たれたかのような衝撃が走った。視界がゆらいでかすみ、気が遠くなる。
 まわりの景色がぼやけ、心が押し出され、どこか別の世界に放り出されたかのような感覚。かろうじてたもった意識が、なにかに触れた。
 そこは宇宙だった。
 身体から魂が離れて浮上し、宇宙へと舞い上がったのだ。唸るような風の音を聞きながら、重力を始めとしたあらゆる足場から逃れ、現実に重なる異空の世界にゆっくりと浮遊している。
 月が見える、太陽が見える、数多の星々が見える、そして地球も見える。

(あ……、あたし、いま星を読んでるのね――)

 深淵の彼方、時間や空間の概念すら異なるすべての要素が偏在化している宇宙。
 その宇宙に京子の観念が反映され、遠くにある現実の影を目の前に顕現、あるいは現実世界のすべてを凝縮して縮図のように映し出す。
 千里眼のような感覚で宇宙を見渡していくと大きな存在の声を聞いた。
 大きくて強大で、そして異質な存在。
 あまりにも大きすぎてそちらを見ることが恐ろしかった。直視してその存在を認識しようとすれば、矮小な人間の精神など耐えられず、脳細胞が認識能力の限界を超えて破裂し、魂が焼き切れてしまうような、圧倒的な存在。
 それの声が響く。



『ステージ1。勝利条件・滅亡の危機に瀕する宋王朝を救い、迫りくる元の軍勢を退ける。敗北条件・宋の皇帝趙?の死亡、秋芳の死亡、京子の死亡』



「な――」
「ん、どうした?」
「なんなのよこれはーっ!!」

 つっぷした京子の口から怒鳴るような大声があがった。
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