-後をついて行く-
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
叢に向かって突進する。
「無茶だ」
何度か叢と対戦したことがあるルシアには分かる。
歴戦の戦士である叢にはド素人同然の自分達がどうにか出来る相手ではないと。ましてや一対一での決闘などありえない。そんなの死に急いているだけの自殺行為だ。
「だめぇぇぇええええええ!!!」
――果たしてその行動は正解と言えるだろうか。
「う……そ……」
考えるよりも先の身体が動くと言うのはこの事。
このままだとランファが死ぬと思った瞬間、ルシアは隠れてたタンクの裏から飛び出しランファと叢の間に割って入ったのだ。
今まさに互いを斬り殺そうと殺刃を繰り出した二人の間に割って入って行ったのだ。
それはまるで石の神殿で、ルシアを殺す為の魔法を詠唱していた叢と、彼女を殺す為に襲い掛かったルシアの間に飛び込んで来たランファと同じ行動だった。
「カハッ」
背中、腹と両サイドから切り裂かれたルシアは吐血しその場に仰向けに倒れた。
「お父さん……?」
目の前に転がっているのは自分が斬りつけてしまった者。自分が殺ってしまった者。
「お父さんっ!!」
どんどん冷たくなっていく身体を抱きかかえ、大粒の涙を流し声をかけ、身体を揺さぶってみたがもうすでに遅し、こと切れているようだった。
「……馬鹿な男だ」
叢は吐き捨てるようにそう呟いた。
「安心しろ。すぐに父の元に逝かせてやる」
鉈を振りかざし
「お父っ――」
音もなく静かに振り下した。
なんの痛みを感じさせずに一瞬で終わらせてあげるのが叢なりの優しさか。
仲良く折り重なった親子の死を見届けた後叢は懐から小さな箱のような通信端末機を取り出し、
「我だ。特異点の始末及び、メシアの生き残りの始末を終了した」
ドアを開け階段を下りながら誰かに向けて報告する。
「次の用済みとなったゴミの処理へと向かう」
――全ては我らの王が望むままに。
長いようで一瞬の様だった夜が明けた。
中々チェックアウトしないルシア達を心配した宿の従業員が、ルシア達の止まっていた部屋に様子を見にくると
「ひゃあああ!?」
そこにはまるで永久の眠りについた美しき姫のように腕を胸上に置き、ナイフで一突きにされ死んでいるシレーナの死体を発見したという。
後に入って来た雪白の騎士団の調査からは、何らかの仲間割れを起こしたルシア達がシレーナを殺害してしまい。
その罪の意識に耐え切れなくなり屋上で心中自殺したものだと世間に発表された。
ルシアの身体には一切の傷はなかったことから、おそらくルシアがシレーナを殺しランファを殺し最後に毒で自分も死んだ、そう推測したようだ。
こうしてルシ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ