-後をついて行く-
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な程大きなため息をつくランファ。
「あの……ですからどうゆう……」
こめかみ少しシワを寄せたムラクモが訪ねる。
表情は困惑している可哀想な娘を醸し出しているが、その口調はどこか違う隠しきれていないドス黒い物を感じる。
薄々は感じ取っていたかもしれない。彼女の名前を聞いたあの時から。
「とぼけるのも自由です。でもね――これを見てもまだとぼけられますか?」
そう言うとランファはずっと握りしめていたあるものを叢の目の前に差し出した
それはザンクの所為で迷いの森へと変化してしまった南の森を攻略する際に使用したランファの私物、薄汚れてボロボロとなってしまった元はフリルが可愛いピンク色のリボンだった。
「な……なぜそれを貴様がッ」
驚愕しサイドテールに結んでいるリボンを手に取り後退りする叢。
良く見れば彼女のリボンもまたランファが持っているリボンと同じ、それは新品のように綺麗なフリルが可愛いピンク色のリボンだった。
「そうか貴様が」
何かが彼女の中で腑に落ちたのだろう。
「ふふ……ふふっははっ」
顔を俯せ乾いた笑い声をあげる叢。もはや正体を隠すつもりはないようだ。
着込んでいた新品のように綺麗なポンチョを握りしめると、徐にポンチョを脱ぎ去る。
その下に現れたのはあの血で赤黒く汚れた深紅の鎧、ポンチョが地面に落ちる頃にはムラクモと名乗った女の顔には般若の面で隠されていた。
「そんな……まさかムラクモさんが紅き鎧の騎士の正体だっただなんて……」
誰か。誰もでもいい。誰か――嘘だと言ってください。
信じられなかった。
まさか淡い恋心を抱きつつあるある人物が憎き宿敵だなんて。
信じたくはなかった。
目の前に宿敵的本人が居たとしても。
「なるほど。我が主が仰っていた特異点と言うのは貴様の事だったか」
叢はランファを特異点と呼んだ。背に隠していた鉈と槍を抜き去りその切っ先を向けて。
「そうなんだ。もうそんなことまでバレちゃってんだね」
顔を俯せてランファは独り言を呟くかのように言った。
「当たり前だ。我らの王を舐めないで貰おう」
その言葉にランファは言葉ではなく、背中に背負う自分の背丈よりも大きな剣を抜き取り構える事で答えた。
「我と一戦交えようと?」
「そうだよ! あたしは大好きなお父さんの為だったらなんだってやってられる、超ファザコンなんだから!」
えっへんと胸を張ってよく分からないことを言うランファに叢はくすりとも笑わず
「ならば死ね」
叢は右手に持った鉈を振りかざす。
「たとえ刺し違えたとしてもあなただけはここで倒す!」
うああああと雄叫びをあげランファは大剣を振りかざし一直線に
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