暁 〜小説投稿サイト〜
ナニイロセカイ
*サクラ色の世界
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ったのかな、と錯覚してしまいそうなくらい広くて大きな体育館。
緑色のシートが床に広げられ、沢山のパイプ椅子が並べられています。

「じゃあ順番に座ってってー」

先生の指示のもと。言われるがままに指定された席に座りました。
周りを見れば知らない子ばかりで少し不安な気持ちになります。

「じゃあ。あともう少ししたら入学式が始まりますからね」

と言っている先生の声も聞こえない程、体育館の中はがやがやしています。
うるさい。こわい。沢山の人に囲まれてきもちがわるい。

"タスケテッ”

と心の中で叫んだわたしの悲鳴は誰の耳にも届きません。

入学式が始まって、校長先生の気が遠くなるような長い話、よくわからない退屈なカルキュラムが全て終わったところで入学式が終了。

はぁーやっと終わった。解放されると息をついたつかの間のこと。

今度は教室案内。

自分の教室を自分で探さなければいけない。

あー。いつになったらこの地獄から解放してくれるのでしょう?

北にある校舎の三階に一年生の教室があるらしいです。
一歩、一歩、丁寧に階段を上がっていきます。
ああ……気が重い。あと階段がきつい。どうせなら二階がよかった、もしくは一階。

心の中で文句を言いながら三階に辿り着くと、沢山の生徒達で溢れかえっていました。
……このまま引き返そうかな? 
とも思ったけどそうはいかない。仕方なく教室の出入り口の引き戸に貼ってあるというわたしの名前を探します。

教室は全部で七つ。
七つもあるんだ……多いよ。
しかもひとクラス四十人って多すぎだよ……窮屈すぎて吐きそうだよ……。

人込みをかき分け一つ一つ、貼り出された紙を見て行きます。

ない。

ない。

ない。

ない。

あった。

五つ目の教室でわたしの名前がありました。

わたしの苗字は中間あたり。
だからいつも探すのが大変。
あいうえお順で席に座るとだいたい真ん中の方の先生と真っ直ぐ見つめ合う席になるから、すごくいや。
目立つから。
わたしは目立ちたくないのに。ずっと日陰で静かに暮らしていたいのに……。

知らない人ばかりのクラスはいやだな……他に知っている人の名前はないのかな……と探そうとしたけど、

「邪魔よっ」

他の人に押されて逃げるように教室の中へ入ることしか出来ませんでした。

「でさー」
「わーい」

教室の中も中でずっこく賑やかでした。うるさいです。
そして知っている顔は何人かいました。
でも顔は知っているというだけで名前はおろか話したこともない人ばかりでした。

ああ_オワッタな。ただ単純にそう思いました。

「えーあたし達席とーい」
「ほんとだー最悪〜」

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