とある親子の話
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「……そうだけど?」
それがどうしたのっと息子は無邪気に首を傾げるのさ。だってまだ善悪も測れない五歳の子供なのだから。
「ママに何か恨みでもあったのか?」
刑事の言葉に息子は大きく首を横に振った。
「恨みがなかったら殺したらダメなの?」
何も知らない無垢な子供だからこその質問。
「一体どんな理由があったら殺してもいいの?」
この質問に刑事は答えられなかった。目の前にいる、狂人の殺人鬼の質問に何も答える事が出来なかったのさ。
彼が出来るのは
「……お前は俺が守る。だから安心しろ」
「……?」
もはや見る影も無くなったただの肉塊と化した妻の死体を山奥に埋め隠す事。
「俺は腐っても刑事だ」
刑事だという事を利用して警察内部の情報を操作し息子が犯した事件をこの世から抹消し法の魔の手から息子を守る事。
誰が五歳の子供が自分の母親を殺してみせると思う?
そんなこと誰にもバレっこない。いや実際バレなかったかのだからね。
――最後の事件が起こったあの日までは……ね。
彼の息子は生まれ持っての殺人鬼。狂いに狂った狂人の殺人鬼なんだ。
一回の殺人で満足するわけないのさ。
その後も何人も、何人も、殺していったのさ。ただそこにいたからってね。
最初に母親を殺したのだって、幼い彼の傍に一番近くにいる存在だったからだたそれだけの理由。
ならさ、賢い君ならもうわかるだろう?
「何故だ! どうして俺を」
この町で一番優秀な刑事だと言われた男はいなくなった。
世界で一番守りたかった者にの手によってね。
守りたかった者だって守ってくれる存在がいなくなりそこでお終いなのさ――
とある親子の話*fan*
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