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そうだ、つまらない話をしてあげよう
分かってくれたかな?
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そうニヤリだらしなく口元を緩めているお爺さんに言ってあげるわ。ハッキリとね。
「で?」だから何とね。
だってそうでしょう? こんなつまらない話を聞かされたからといってどう理解すればいいと、いうのかしら。素直に話の内容を受け取ると「お爺さん貴方はこのつまらない趣味を五十年も前からそこに座って行っていたとでもいうのかしら?」顎を上げて蔑むような瞳で言ってあげるわ。お爺さん、何度でも言ってあげるわ。
でもこのお爺さんにはどんな皮肉も蔑みの言葉も通じないみたい。カッカッと笑い飛ばして
「いやあ、実に面白いお嬢さんだ。さすがのわたしも五十年はやっていないよ。
 この趣味はつい数十分前に思いついた、わたしの新しい趣味だからね」
「つい数十分前ですって? それは私に話しかけた時じゃない。それじゃあお爺さん、貴方が私よりも先に座っていた証拠になんてならないわ」
「おや、これはうっかり」
と、舌を出してつまらないお爺さんは大笑いをしているわ。
……なにが楽しいのか私には全く分からないわ。だってちっとも楽しくなんてないもの。
「――時につまらなそうな顔をしたお嬢さん、君の弱点はなにかな?」
このお爺さんは急になにを言いだすのかしら。弱点なんて教えるわけないじゃない。家族にだって教えないわ。親族、友人にだって教えてなんてあげないわ。まして今日会ったばかりの赤の他人ならなおさらのことね。
「おっとすまない。話が急すぎたね」とお爺さんはコホンッと咳払い。
「人間誰しも多かれ少なかれ弱点は持っているものだよね」
「それはそうでしょうね。心臓を一突きにされれば誰だってそこでこと切れるわ」
「はっはっ、君は独創的な発想の持ち主なんだね。わたしにはそんな発想はなかったよ」
そう。見た目同様頭の中も満開のお花畑なのね。
「次の話はね、とある敏腕刑事の話さ」
「まだ続けるのかしら、この不毛でくだらないつまらない話を。私としてはもう終わらせてもいいのだけど?」
フッと鼻で笑い語尾を強めに言うのがコツよ。つまらないお爺さんはこのつまらない会話が新しく出来た趣味だと言っていたわ。ならこの趣味そのものを否定してあげればきっと、いい感じに精神ダメージを与えることが出来るはずだわ。
そして私は今度こそ平穏で静かな昼食のひと時を取り戻せるのよ――と思ったのだけど、このお爺さん思っている以上に手ごわかったわ。
「はっはっは、これは一本取られた。
 わたしの弱点はこの新しい趣味を取られる事だったようだ。
 はっはっ、新しい自分の弱点に気づかせてくれてありがとう、つまらなそうな顔をしたお嬢さん。
 気づかせてくれたお礼と言ってはなんだけど、一つとある狂人の殺人鬼の話を聞かせてあげようじゃないか」
話が元に戻ってしまったわ。これはループというものかしら? いいえ、少し
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