どうだったかな?
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そう、自信満々のどや顔で聞いてくるお爺さんに私は
「ええ。とってもつまらない話をありがとう。つまらなすぎてあくびが出てしまったわ」
ふぁと見せつけるようにあくびを一つしてあげるわ。だって本当に眠くなるようなつまらない話だったのだもの。
「そうかい。楽しんでいただけたようでなによりだ」
……本当。このお爺さんには皮肉というものが通じないのかしら。
「そうね。一つアドバイスをいいかしら」
「おや、なにかな?」
「助けた人たちに見捨てられた医者が狂気に狂い、人間の臓器を抜き取り売買する死の外科医となったお話だったら少しは楽しめたかもしれないわね」
「お嬢さんはそうゆう話が好みなのかい? じゃあ次はそうゆう話にしようか」
次のつまらない話を話し出そうとするお爺さんに私はちょっとまってと声をかけた。
「お話は一つだけと言っていなかったかしら?」
「ああ、そう言ったよ」
お爺さんは平然と答えたわ。じゃあどうしてまたお話を放そうとしているのかしら。
「もうわたしのつまらない話を聞きたくないのなら、話の途中でも、今この瞬間でも、君はここから立ち去るはずだよ」
……確かにそうね。聞きたくないのならここから立ち去るのが一番……ってちょっとまって、
「どうして私が立ち去るのかしら、貴方が立ち去ればいいじゃない、お爺さん」
「それこそどうしてだよ、お嬢さん」
意味が分からないわ。首を傾げているとお爺さんは、
「わたしは君がそのベンチ座る前からここに座っているからだよ」
「どうしてそんなことが言えるの。証拠でもあるのかしら?」
「証拠なら君の中にあるよ、つまらなそうな顔をしたお嬢さん」
私の中に証拠があるですって?
「お嬢さん。わたしが声をかけるまで君はわたしを認識していたかな?
公園にいる人たちを認識していたかな?」
言われてみて初めて気が付いたわ。私は無意識にここの公園を選び来て、このベンチに座ったの。周りに人がいるなんて、こんな変なお爺さんがいるなんて全然気がつかなかったわ。
「人間は見たいものだけを見て、信じたい真実だけを信じると言うだろ? つまりはそうゆうことさ」
えっへんと胸を張っていうお爺さんに少々苛立ちを感じるわ。
「確かに私は貴方がいたことに気がつかなかった。でもそれは後からやって来た貴方のことが、かもしれないわよ? お爺さん」
どちらが先に来ていたなんて証拠はない。だからこの勝負に勝敗はない。なら少しでも私の有利に進める方がいいわ。
「はっはっ。勝ち誇っているところ悪いけど、わたしの方が先に来ていたという証拠はあるんだよ」
「はい?」
「それはこのつまらない話を聞いてくれれば理解してもらえるはずだよ」
――次にお爺さんが話し始めたつまらない話はレールの上に立った男の人達のお話でした。
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