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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 1
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目が覚めたってことは、どこかに迷いでもあるのかしら……」
「陰陽庁のトップを目指すといっても進む道はいろいろあるしな。祓魔局か呪捜部、どっちに入る気だ?」
「問題はそこよねぇ……」
「それで思い出した、陰陽塾のカリキュラムのことだ。一年は座学中心、二年は実技中心、三年はより実践的な授業内容。これはいいんだが、三年に進級するさい、修魔官や呪捜官、霊視官、そして陰陽医など、それ以外の分野。それぞれの希望就職先に合わせてクラス分けしたほうが良いと思うんだよな」
「そうね、呪具師や符術師みたいな技術職を希望してる人に霊災修祓や対人呪術戦の授業って、あんまり意味ないもの」
「陰陽師としての最低限必要な能力は二年までに身に着けてもらい、三年からは専門的な授業を受けられる。汎用性を高めるのも結構だが、より細分化して好きな分野を学べる自由があったほうが良い」
「でもそうすると二年までの授業がハードになるし、なにより講師の数が足りないわ。専門分野を教える講師の人を新たに雇わなくちゃ」
「そうなんだよなぁ、そうそう専門家なんて見つからないよなぁ」
呪術界はどこもかしこも人材不足だ。定年退職したあとも嘱託で同じ職場に残ることを強く求められる傾向がある。
「……秋芳君は、このまま陰陽塾で講師になるつもり?」
「さて、どうしたものか……」
「人財の育成も大切だし、それも良いと思うんだけど、特にこだわりがないようならあたしとおんなじ道を歩いて欲しいなぁ……」
そんなやりとりをしつつ、崖を下りてゆく。
断崖絶壁。一歩でも足を踏みちがえれば落下や滑落してしまう危険な場所だが、二人ともまるで危うい様子がない。
秋芳は山篭り時代に身につけたボルダリング技術――壁虎功を駆使して軽やかに下り、京子のほうは呪術を使って舞うように下りている。
土行の気をメインに周囲の霊気をたくみにあやつり、重力を制御する落下制御(フォーリング・コントロール)の呪術だ。
ふたりともここが夢の中、仮想現実の世界だと認識してはいるが、だからといって無謀な真似はしない。ここでの死は現実の死につながるからだ。
たとえ幻覚幻術であっても本人がケガをしたと思えば肉体は傷つくし、『死んだ』と思えば、死ぬ。
人の意識とはそういうものだ。
「風は冷たいが日差しのおかげで動いているとそんなに寒くはないな。なぁ、京子。遠慮なく呪術を使って遊んでみないか?」
「いいわね。たまには塾以外の場所で派手に使いたいわ」
今の時代、陰陽庁の定めた陰陽法により甲種呪術の使用は陰陽師の資格を持つ者に限られ、またその使用に関しても厳密には細かい規定がいくつも設けられており、公共の場で好き勝手に使用しても良いものではない。
陰陽庁が公式に認可している陰陽師育成機関である陰陽塾の塾
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