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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 1
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険峻な山を持ったふたつの島が門のようにそびえ立っていた。
波はおだやかで、規則正しい潮騒が聞こえる。
青天白日、白砂青松。夏の日にぴったりな景色なのだが、海を渡る風は冷たい。どうやら季節は現実世界と同じく晩秋か冬。あるいは、ずいぶんと寒い地域のようだった。
小島が点在する様は日本の瀬戸内海に似ていなくもないが、より起伏に富み、けわしい印象を受ける。
「夢、だよな……」
「夢、よね……」
「それにしちゃあずいぶんと寒い、こんなところまでリアルに再現しなくてもいいのにな」
ひと組の男女が奇岩の上に立ち、あたりを見渡している。
男のほうはわずかに青みがかった黒――烏羽色をした服を、女のほうは白い服を着ていた。デザインは同じで、平安時代の公家の運動着だった狩衣を、さらに機能的した作りになっていた。
デイドリーム枕くんで夢幻の世界へと降り立った賀茂秋芳と倉橋京子だ。
「体感時間にして一日ほどで帰れる――目が覚めるはずだから、それまでゆっくりとこの世界を堪能しよう」
「い、一日も!? ずいぶん長く設定したのね」
「俺達の鑑定と枕の機能に誤りがなければ、かなり長くいてもリアルじゃ数分しか経たないはずだし、そのくらいの時間じゃないとゆっくり楽しめないと思ってな。博物館や美術館だって丸一日ないと全部観て周れないだろ?」
「ここはなにが起こるかわからないエキシビションだけどね、悪夢展覧会になる可能性だってあるわ」
「夢だと認識していても覚めない悪夢とか、たしかにいやだよな」
「そういう体験て、ある?」
「ないな。怪物と戦う夢や自分自身が怪物になって暴れる夢ならたまに見るが、一方的に怖いと感じるような悪夢は見た記憶がない」
「あなたらしいといえば、あなたらしいわね」
「君は? 最近なにか怖い夢でも見たとか」
「う〜ん、そうねぇ……。最近見た夢だと――目の前に道があって、どこかへ行こうとしてるの。しばらく進むと道が二つにわかれていて、さらに行くと開かれた場所があって、目の前には列車や飛行機やバイクといった乗り物がならんでたわ。で、そのどれに乗ろうか迷っている。でも結局は乗り物に乗らずに歩いていくことにして、長い道を進む途中で目が覚めちゃった」
「ほほぅ……、夢は心の奥にしまわれた意識の象徴。昔から夢は神のお告げ、魂の働きだといわれている」
「卜占全般。夢占いもあたし達陰陽師の分野よね」
「陰陽師として今の夢はどう見る?」
「ん、そうね……。どこかへでかけるというのは旅立ちや人生の漠然とした予告を、乗り物や歩くと言った行動はその人の人生の過ごし方や行動の仕方をあらわすわ。列車はレールに乗った無難な人生、バイクは機動性と自由と危険、飛行機は解放を、歩くということは自分の力で人生を切り開くという選択のこと。でも途中で
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