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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
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効果のある物を」
そう言うと奥から一基の箱枕を持ってきて見せた。朱塗りの箱台の上にくくり枕がつけられている時代劇でおなじみの枕だが、台の高さは低く、これなら普通に使っても首が痛くなることはなさそうだ。
「まぁ、視てちょうだいよ」
呪具の鑑定には見鬼の能力が必須であり、より精確に機能を知るには高い見鬼の才を求められる。秋芳と京子は霊視に集中し、箱枕にそなわる力を調べてみた。
………… ………… ………… ………… ………… ………… ………… …………。
「……これは、望んだ夢を、いや予知夢を見せる効果か? いや、少しちがうな……」
「幽体離脱? なんか意識を飛ばす機能がない?」
あれこれ探るうちにたどりついた答えは『はっきりとした意識をたもったまま夢を観ることのできる機械』というものだった。いわば仮想現実、バーチャルリアリティを体験させる呪具だ。
ただしその夢というものが通常の夢のように自身の意識のみから生じる夢とはかぎらない。阿頼耶識や集合無意識にリンクし、夢を観るというのだ。
他者、それも特定の個人に限らず広大な精神世界に侵入して観る夢。その夢の内容をこちらで決めることはいっさいできない。
「まるで荘子の胡蝶の夢だな。我、夢に胡蝶となるか、胡蝶、夢に我となるか」
「仮想現実っていう点じゃあ、邯鄲の夢みたいよね」
「ああ、そうだな。……しかし漢民族というのは大したものだよなぁ、二千年以上も前に内宇宙、インナー・スペースと実存との関係を哲学にまで昇華させるだなんて」
「精神だけじゃなく物質的にも進んでいたのよね、世界三大発明も中国が発祥でしょ」
火薬・羅針盤・活版印刷術。これらはルネサンスの三大発明などと言われ、いかにもヨーロッパ人が発明したかのように言われるが、実際には中国で発祥したものだ。
この三大発明に紙をくわえて四大発明とも呼ばれるが、その製紙技術もまた後漢の蔡倫という人物の発明だとされる。
ちなみにこの蔡倫、宦官である。宦官というと秦の趙高や宋の童貫。『三国志演義』の十常侍など、とかくマイナス面ばかり強調されがちだが、鄭和や秦翰や張承業、張?ちょうしといった英傑たちも存在したことをわすれてはいけない。
「そう、夢だ! さすが呪術界の名門出のお二人さんだ、よくわかりましたね。その夢を観る呪具をようやくこしらえることができたんだが、いかんせん使用がむずかしくて実際のできぐあいがわからんのだよ」
「でしょうね。これ、かなりの霊力がないと危険ですよ。夢に、別の世界に魂をもっていかれる」
「そもそも一定以上の霊力の持ち主にしか反応しないようになっていますよね。あと作動術式もけっこう複雑で呪具のあつかいに慣れた人でないと動きそうにないわ」
鑑定してだいたいの
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