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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
観念
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容と展示品の数々を二人に説明する。禅をはじめとする精神修養や観念の大切さと呪術との関連性を人々に知らしめるのが彼の仕事だそうだ。

「茶道もまた精神修養の一つ。お茶を点てさせてくれないかい?」

 津守氏はどうも話し相手に飢えているようだ。ことわる理由もないので、ありがたく馳走になることにした。
 一服し、茶飲み話にひとしきりつき合ったあと、秋芳と京子は自分達が陰陽塾に在籍する臨時講師と生徒だと説明すると津守は妙に納得した表情を見せた。

「なるほど、倉橋長官の娘さんに、あの賀茂家の……。たしかにお二人とも非凡な霊力をお持ちだ」

 菩薩眼の力に覚醒し、龍脈の気を自在にあやつれるようになったとはいえ普段は自前の気をまとう京子だが、もとより平均以上の霊力の持ち主だ。それにくわえて秋芳との修行でさらに自身の霊力に磨きをかけている。
 秋芳もまた必要以上におのれの霊力を誇示するのをきらい、普段は押さえているが、それでも並の陰陽師にくらべれば高い部類に入る。

「……お二人さんは現代の呪術と土御門夜光以前の呪術の大きな相違点とはなんだと思うかい?」
「術式の簡易化や普遍化ですか?」

 教科書にはそのように書かれている。京子は優等生然と答えた。

「それも大きな特徴だね。でももうひとつ、そのような特徴を生み出す要因になった『宗教色の排除』てのがある。呪術の前提条件から信仰心のたぐいを切り捨てたことにより本来曖昧模糊としていた呪術の因果性を明確化することができ、それ以降の呪術の技術的発展を助けた」

 この人はいきなりなにを言い出すのか? 二人はだまって話の続きを聞く。

「けれどもそれにより、それまで呪術の主たる目的のひとつだった、ある系統の技術や方法論を呪術体系の中から除外する結果となってしまった。さぁ、これがなんのことだかわかるかい?」
「魂関連の項目ですか?」
「そう! それだよ。魂に対する方法論、霊魂の存在。さらには冥界や神界といった異なる世界へのアプローチだ」
「たしかに汎式にはそっち系の呪術はふくまれていませんね」
「そう、汎式には。しかし帝式、帝国式陰陽術には魂の概念がしっかりと残っている……」
「帝式の研究もなさっているのですか?」
「まぁ、独学でね」
「独学ですって!?」
「……それ、ちゃんと許可は得ているんですか?」
「ははは、まさか。こんな閑職の身にそんな大層な権限をくれるわけないでしょ。上にも横にも下にもだま〜って研究してましてね、それでも多少は成果ってやつを出してるつもりだよ。もっともおおやけにはできないけれど」
「そうでしょうね。内容にもよりますが、発表したところで禁呪に手を出した罪で裁かれるのは確実でしょうし」
「それでね、つい最近ひとつの呪具をこしらえたんだ。魂に作用する
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