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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 4
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ていた桃矢の姿が見えない。
秋芳がそのことに気づくと、そっと席を立った。
薄雲を透かして地にそそがれる、朧月のほのかな光に照らされた枯山水の庭園が詫びた風情をかもし出している。
縁側に座った桃矢は遠くから聞こえる女子達の歓声をBGMに、ぼんやりとそれを見つめていた。
美味しい食事とお茶の力でしずんだ気持ちはだいぶ良くなっていたが、こうして一人になると来たるべきシェイバとの戦いのことが頭に浮かび、どうしても陰鬱な気分になってくる。
「あの時はなんで平気で向かっていけたんだろう……。むちゃくちゃ霊力に差があったのに。ああもう逃げちゃおうかな……」
しかしそうなると不戦敗で賭けに負けた秋芳先生がお金を出すことになる。失せ物や探し人を見つける卜占の術も陰陽師の得意とするところ。どこに逃げても見つかってしまいそうだ。もしそうなればどんなひどい目に遭うことやら、シェイバにぶった切られたほうがまだマシなのかもしれない。
「退くことも闘いには必要だが、それはあくまで勝つための一時的なものだ」
「秋芳先生!」
「武道の行きつく先は禅の境地だと言われる。精神を磨くことによって手を合わさずとも勝敗が決する。江戸時代屈指の剣豪で心法の剣と呼ばれた無住心剣術の真里谷円四郎も、武道の極意を悟った者同士が立ち会えばいっさいの術技を排した状態になり、瞬時に勝負がつくと言っている。武道や呪術の極意は精神にあると言っていい。精神を制御するんだ。今は倒せなくてもいずれ倒せる日が来る。半年もあればおまえはじゅうぶんに強くなる。もちろん慢心も怠慢もせずに毎日きちんと修行をしていればの話だがな」
「本当に、そう考えてるんですか?」
「あたりまえだ、勝つ見込みがないのにあんな話をだれがふるか。前にも言ったが桃矢は基礎ができている、乾いた砂が水を吸うようにおぼえが早い。これから武にくわえて呪術でも、俺のとっておきを教えてやるから安心して修行にはげめ」
「……はい、お願いします。……ところですごい豪勢な打ち上げですね。これって陰陽塾が用意してくれたんですか?」
「まさか、あの吝嗇な塾長がこんな大盤振る舞いするわけないだろ。俺の自腹だ」
「ええ!? ずいぶん太っ腹ですね、相当お金がかかったんじゃないですか? さっきの三千五百石円といい、ひょっとして秋芳先生ってお金持ちだったりします?」
「俺が呪術を使って商売しているのは昨日今日からじゃないからな、それなりの貯えはあるさ」
それに最近は良いバイトもあるしな。そう胸中でつけくわえた。
巫女達に依頼される案件の中には高額の謝礼が用意されているものもある。秋芳はそのような案件を自分でこっそりちゃっかり解決して報酬を得ていたのだ。
「あ、そういえば今日はどうして遅れちゃったんで
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