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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 4
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ん。他の少数派に対しても理解を持たなければ、そもそも俺達呪術者自体が少数派じゃないか。闇寺は闇寺で社会には必要かも――)

 横道へとそれそうになる思考を無理やり戻し、話を続ける。

「百人は入る講堂が、今夜は俺達八十人の貸し切りだ。みんなぞんぶんにはしゃげ。無礼講だ」
「「「わーい!」」」

 精進料理の献立をベースにしているが肉類も混じった料理の数々が巫女達を歓待した。
禅は中国から伝わってきたものだが、そのさいに中国料理のノウハウも共に伝達され、禅寺の精進料理というのは中国色が強い。
 油条(ヤウティウ)に玉子と野菜のお粥、フカヒレのスープ、白身魚と野菜の春雨炒め、豆腐サラダ、鴨肉の紹興酒浸け、アヒルの玉子をゆでて糸で切ったもの、栗、銀杏、松の実、枸杞の実を猪肉に散らしたもの、点心は小籠包、冷製ライチ、愛玉(オーギョーチ)ゼリー、ベリーソースかけ杏仁豆腐、椰子牛?酥や鳳梨酥、茉莉花茶を始めとする中国茶、などなど……。
 もちろん一つの膳にこれだけの量の料理は乗らない。お粥とスープ、油条とサラダ以外の物は別の膳に載せられて運ばれていた。

「式神?」

 甲羅の部分がお膳状になった亀の式神がたくさんの料理を乗せて回転寿司のレーンよろしく席沿いを回っているのだ。
 さらに手足の生えた蒸篭が湯気をあげて、ひょこひょこと動きまわり、熱々の饅頭や小籠包を用意し、蝶の翅のついた急須がお茶を注いでまわる。
 まさに元闇寺。呪術と縁の深い場所ならではの饗応にみんな大喜びだった。

「私フカヒレの姿煮なんて初めて!」
「油条って揚げパンみたいだけど全然脂っぽくなくて食べやすいわね」
「カニみそ入りの小籠包なんてあるのね」
「私のはウニ入りだったわ」
「むらさき芋やマンゴーの小籠包ですって」
「仙草ゼリーていかにも薬草って感じ」
「ねぇ、ライチの食感て……、アレに似てない?」

 わーきゃーわーきゃーと、普段は寂寞としている講堂内は女子達の歓声にあふれていた。

(酒も入ってないのによくあんなにさわげるものだ)

 少し離れた場所でビールをチェイサーに白酒をたしなんでいる秋芳がそんな生徒達の姿をまぶしげにながめる。かたわらに笑狸の姿はない。興がのって女子達の輪に入り一緒にさわいでいるのだ。
 独り、あるいは愛しい人と二人きりで静かな時を過ごすことを好む秋芳だったが、たまにはこういうさわがしさも悪くはないと思えるようになっていた。陰陽塾に来て変わったことのひとつだ。

(ああ、美味い。茅台酒や五粮液も良いが、やはり白酒は洋河大曲にかぎる。にしてもなんで中国じゃビールのことを?酒なんて書くのだろう。口に卑しいとは酒に失礼じゃないか。……うん?)

 打ち上げ当初の最初のほうはさんざん女子達にもみくちゃにされ
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