シーホーク騒乱 2
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くレザリアではレザリアでアルザーノが先に侵略してきただの、魔術は野蛮な悪魔の技だのと、真逆の歴史が語られているのではないだろうか。
(時は変わり所は移ろえど、人の営みに何ら変わりはない。春秋に義戦なしとはこのことか)
「あああ〜! これってばライツ=ニッヒの初期作品集ですよ!」
黙って本をめくっていたミーアが著者に思い当たり驚きの声をあげる。
「ライツ=ニッヒ、どこかで聞いた名ですわね」
「ひと昔前の有名な幻想小説家ですよ。行ったことも見たこともないような古代遺跡をまるで実際に見てきたかのようにリアルに表現することに定評があって――でも彼は若い頃の自分の作品を黒歴史認定していて、絶対に書籍化しなかったんです。それどころか片っぱしから処分して、なかったことにしたいほどだったそうです。晩年になって自分が若い頃に書いた作品を焼き捨てろと家族に遺言した話は有名ですよ。これは彼のアマチュア時代に書いた同人誌じゃないですか。ちょーレア物ですよ!」
「自分の作品を焚書にするとはおだやかじゃありませんわね、どうしてそこまでしてみずからの過去を否定なさるような真似をしたのかしら」
「なんか、いろいろとひどかったそうですよ。内容とか設定が」
「ひどい?」
「はい。――とにかく主人公はやたら最強能力設定を搭載しまくった天下無敵で、クールでぶっきらぼうのくせになぜか人をひきつける魅力があって、特に理由もなく女の子にモテモテで常にハーレム状態。どんなに固い信念を持った敵も少し主人公が説教するだけであっさり揺さぶられてあげくの果てには主人公に理論的にも物理的にも完全敗北して改心し、だれもかれもが主人公をすごいすごい、さすがですわと大絶賛」
「まぁ、それは……、たしかに、ひかえめに言ってひどいですわね」
「いや、俺はそうは思わないな」
「あら、以外ですわね。あなたこそこういった作品を毛嫌いしてそうですのに」
「物語の主人公が高スペックなのは当然だ、だれが好き好んで凡人の平凡なお話なんて読みたがるものか、そんなのは自分自身のリアルライフでじゅうぶんだろ。それよりも実質最強系主人公なのに、俺ツエーじゃありません、他の作品とはちがうんですアピールしてとってつけたような、なんちゃって最弱落第劣等生属性をつけるような作品こそうっとうしいわ。信者どもは信者で毎回ケガしている、苦戦しているから〇〇は最強系じゃないとか擁護しだしてさ――」
『花関索伝』という物語がある。
主人公である関索は関羽の子という設定だが史実にそのような人物は存在しない(つまりオリ主!)関索は武勇のみならず知略にも優れ、美少女たちにもモテモテという最強系主人公。
そんな彼が魏や呉の悪役をやっつけていく歴史IFをテーマにした古典ラノベだ。
さらに京劇では孟獲の娘、花鬘
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