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ルヴァフォース・エトランゼ 魔術の国の異邦人
シーホーク騒乱 2
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されていますわ」
「あれ、魔道具かも知れないぞ」
「…………」

 ウェンディは周囲に気づかれないよう、小声で呪文を唱える。

「ナイフのほうは魔力を感じますけど、本からは反応ゼロですわ」
「ふうん、隠形――魔力隠蔽(シール・エンチャントメント)されているようには視えないから、魔道具じゃなくて普通の逸品かな。非凡な気が宿っている」
「普通なのに逸品て、言葉がおかしくてよ」
「とにかく掘り出し物だ、買おう」

 このような場所に出品されているだけあって値段は安いが、それでも秋芳はなんとか半額以下に値切ってナイフと古本を購入した。
広場から少し離れた場所で品定めする。

「まずナイフのほうだが、【ファンクション・アナライズ】は使えるか?」

 【ファンクション・アナライズ】
 対象物の分析と解析をおこなう。物理的な構造や機能のほか、魔術的な機能や符呪された魔術も知ることができる。

「とうぜんですわ」

 なんの変哲もない青銅製のナイフには【ホーリー・エンチャント】が符呪されていた。設定されたコマンド・ワードを唱えることによって神聖な力を宿し、屍鬼や死霊といったアンデッドに対して強力なダメージを発揮する。

「お次は本のほうだが、こいつからは普通の作品にはない強い気を感じる。それなりの作家が書いた作品だと思うが、あいにくと文芸評論家じゃない。来歴鑑定の呪文は使えるか?」
「いくらわたくしでも、そんな専門呪文なんて知りませんわ。プロの魔導考古学者でもない限り習得しない呪文でしてよ。……それよりも、あなたなんで魔道具だと見抜いたんですの」
「あれぇ、見鬼のことは説明してなかったか?」
「あ、そういえば最初に聞いたような気が……」

 見鬼とは霊気の流れや霊的存在を感じ取る力のこと。いわば霊感能力であり、通常は視認できる範囲のものを視る≠ェ、高位の使い手ともなると目のとどかないような広範囲や遮蔽物も関係なく感知することが可能だ。

「素で【センス・オーラ】がかかっているだなんて、ずいぶん便利ですこと。ちょっとした異能ですわね」
「異能か、たしかこの国では追われる存在だったな。魔術学院へ入れるのはありかたいが、まさか適性検査でそれが引っかかって、人体実験の検体にされるとかはやだなぁ」
「レザリア王国や聖エリサレス教会の異端審問官じゃあるまいし、わがアルザーノ魔術学院がそのような非人道的なおこないを許すことは断じてありませんわ」
「レザリアってのはそんなにひどい国なのか」
「愚問でしてよ、先の奉神戦争はかの国の狂信的な信仰が引き起こした一方的な侵略戦争で――」

 ウェンディがレザリア王国に対する悪口雑言すれすれの批判を口にする。
 それはこの国の歴史書に書いてあるとおりの内容だった。
 おそら
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