シーホーク騒乱 2
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活がかかっているんじゃしかたがない。だがどうやって破壊するんだ、ダイナマイトでも使うとか?」
「帝都から魔導士を招聘して軍用魔術を披露してもらう予定ですの」
軍用魔術とは文字通り戦争用の強力な呪文。純然たる破壊魔法であり、学院で習う汎用魔術とはけた違いの威力がある。
軍用魔術はA級、B級、C級の三クラスに分かれ、A級は戦術・戦略レベルの大魔術で天変地異に等しい威力があるが単独で詠唱するものではなく複数の魔導士が協力して詠唱する儀式魔術だ。
主として近〜遠距離の魔術戦でもちいられるのはBC級の軍用魔術であり、一般的な目安としてC級を一節で詠唱できれば超一流。B級なら何節かけてでもとにかく詠唱することができれば超一流の魔導士とされる。
しかしB級軍用魔術の一般的な詠唱節数は七節以上、これは通常、味方との連携の中で運用されるべき節数であり、B級はC級にくらべて威力が格段に高いものの一対一の魔術戦では詠唱に時間がかかり使い難いというのが実情だ。
「魔術にA級だのB級だのとか、なんだかすてプリみたいだなぁ。そのうち廃棄王女とかいって社会的には死んだことになっている女王陛下のご落胤とか登場するんじゃないか、この世界」
「さて、ついでにもう一か所視察に参りましょうか。たまには市井の人たちの暮らしぶりを見てみるのも貴族たる者の務めですわ」
秋芳の意味不明なたわ言にはもう慣れっこだ。軽く無視して潮風地区でおこなわれている万年蚤の市広場へと向かう。
「ううん、聞きしに勝る猥雑ぶりですわね。ごちゃごちゃしていて、いるだけで人酔いしてしまいそうですわ」
「わぁ、かわいいお人形。あ、こっちの髪飾りも。やっす〜い。買っちゃおうかなぁ」
「安いからと必要のないものを買うのはおよしなさい『小銭に賢く大金に愚か』という言葉がありますわよ」
「おお、この壺の『はにゃあ』とした感じがたまらない」
「そんなひしゃげた出来損ないの壺のどこが良いのか、理解に苦しみますわ」
「破調の美と言ってだな、俺の国にはととのった形ではなく、くずれた形に美を見い出す思想があるのだ」
服や食器といった日用品、絵画や彫刻といった調度品、装飾品、書物、武器、防具、用途不明のなにか――。
広場のあちこちに天幕が張られ、その下に置かれた台座や茣蓙の上に多種多様な品々があふれている。
あふれているのは物だけではなく人もだ。
「これではゆっくりと落ち着いて買い物もできませんわ」
「……お嬢、【センス・オーラ】は使えるか? 使えるならあのナイフとそこの古本を見てみろ」
【センス・オーラ】
視界内の魔力を感知し、魔力を帯びた品物や空間、強さ、大体の性質や属性を知ることができる。
「できますけど、学院の外での魔術の使用は禁止
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