暁 〜小説投稿サイト〜
IS〜夢を追い求める者〜
最終章:夢を追い続けて
第61話「親友たち」
[3/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
抑えている方なのだろう。
 とりあえず、千冬姉達がここにいる訳を話さないとな。

「いつまでも和解しないままじゃ、このままだといけない。…もう、昔みたいな事にはならんさ。だから、ケジメのためにこの場を用意したんだ」

「秋十……」

 そういって俺は簪と本音、楯無さんと共に端の方に移動しておく。
 ……ここからは、千冬姉達の問題だ。

「……許してくれなんて、そんな事は言わない。何なら気が済むまで殴っても構わない…。だけど、これだけは言わせてくれ…。……本当に、本当に!今まですまなかった!!」

 そういって、兄さんは土下座をした。
 同時に千冬姉とマドカも頭を下げた。
 …楯無さんと簪が驚いている。確かに、千冬姉のこんな姿は見る事はない。
 裏を返せば、そんな姿を見せる程、千冬姉は申し訳なく思っていた訳だ。

「私も、姉でありながらあのような仕打ちをしてしまった…。私にできる事なら、どのような償いも受けよう」

「…私も、改めてごめんなさい」

 本来なら言う相手は俺だろう。
 だけど、その俺はもう許したり和解したりしている。
 だからと言って代わりと言う訳ではないが、弾たちに謝ったのだ。

「二人は悪くない!……俺が、俺が全部そう仕向けたんだ。相応の報いは受ける。だけど、事前に謝らせてほしかった」

「………」

 弾たちは三人のその姿に戸惑っていた。
 やがて、どういう事か理解して…。

「っ…今更謝った所で、簡単に許せると思ってるのか!?」

 やはりと言うべきか、弾は激昂した。

「思ってない!だから、報いを受けるためにここにいるんだ。……言ってくれ。お前は俺をどうしたい?俺にできる事なら、なんだってやるつもりだ」

 兄さんは、既に覚悟を決めていた。
 本来なら、あの襲撃の時に命を捨てるつもりだった程だ。
 それほどに兄さんはかつての行いを反省し、悔いていた。

「っ、歯ぁ食いしばれ!!」

「ッ!!」

 その直後、弾が前に出て兄さんを思いっきり殴った。

「……一発。一発だけだ。お前が秋十にした仕打ちの報いと、俺達がお前に受けさせる報いは、この一発で済ませてやる…!」

「弾……」

 色々と言いたい事はあるのだろう。
 そして、本当はボロボロになるぐらいまで痛めつけたい程、怒りもあるのだろう。
 だけど、弾はそれだけで済ませた。

「…どう始末つけるのかは秋十が決める事だ。俺達は、これでいい」

「……そう、か…」

 そう言われた兄さんは、安堵とやるせなさを混ぜたような複雑な顔だった。
 過去の自分が許せないからこそ、この程度で済んだのが拍子抜けだったのだろう。
 ……もっと、自分を責めてくれた方が心にきっちりケジメ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ