最終章:夢を追い続けて
第61話「親友たち」
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抑えている方なのだろう。
とりあえず、千冬姉達がここにいる訳を話さないとな。
「いつまでも和解しないままじゃ、このままだといけない。…もう、昔みたいな事にはならんさ。だから、ケジメのためにこの場を用意したんだ」
「秋十……」
そういって俺は簪と本音、楯無さんと共に端の方に移動しておく。
……ここからは、千冬姉達の問題だ。
「……許してくれなんて、そんな事は言わない。何なら気が済むまで殴っても構わない…。だけど、これだけは言わせてくれ…。……本当に、本当に!今まですまなかった!!」
そういって、兄さんは土下座をした。
同時に千冬姉とマドカも頭を下げた。
…楯無さんと簪が驚いている。確かに、千冬姉のこんな姿は見る事はない。
裏を返せば、そんな姿を見せる程、千冬姉は申し訳なく思っていた訳だ。
「私も、姉でありながらあのような仕打ちをしてしまった…。私にできる事なら、どのような償いも受けよう」
「…私も、改めてごめんなさい」
本来なら言う相手は俺だろう。
だけど、その俺はもう許したり和解したりしている。
だからと言って代わりと言う訳ではないが、弾たちに謝ったのだ。
「二人は悪くない!……俺が、俺が全部そう仕向けたんだ。相応の報いは受ける。だけど、事前に謝らせてほしかった」
「………」
弾たちは三人のその姿に戸惑っていた。
やがて、どういう事か理解して…。
「っ…今更謝った所で、簡単に許せると思ってるのか!?」
やはりと言うべきか、弾は激昂した。
「思ってない!だから、報いを受けるためにここにいるんだ。……言ってくれ。お前は俺をどうしたい?俺にできる事なら、なんだってやるつもりだ」
兄さんは、既に覚悟を決めていた。
本来なら、あの襲撃の時に命を捨てるつもりだった程だ。
それほどに兄さんはかつての行いを反省し、悔いていた。
「っ、歯ぁ食いしばれ!!」
「ッ!!」
その直後、弾が前に出て兄さんを思いっきり殴った。
「……一発。一発だけだ。お前が秋十にした仕打ちの報いと、俺達がお前に受けさせる報いは、この一発で済ませてやる…!」
「弾……」
色々と言いたい事はあるのだろう。
そして、本当はボロボロになるぐらいまで痛めつけたい程、怒りもあるのだろう。
だけど、弾はそれだけで済ませた。
「…どう始末つけるのかは秋十が決める事だ。俺達は、これでいい」
「……そう、か…」
そう言われた兄さんは、安堵とやるせなさを混ぜたような複雑な顔だった。
過去の自分が許せないからこそ、この程度で済んだのが拍子抜けだったのだろう。
……もっと、自分を責めてくれた方が心にきっちりケジメ
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