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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 3
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トビジョンで見るように相手を知覚できる。
 しかしこれは呪術による霧であり、霊的な視覚もさまたげる。並の見鬼持ちでは見通せない。
 並の見鬼持ちならば。

「私は壱番隊最強の呪術姫よ? 効かないわ」

 琥珀はくるりと向きを変え、背後から打ちこもうとする珊瑚に一撃。
 ラグとともに一枚の式符になる珊瑚。
 側面から本物の珊瑚が琥珀につかみかかり、背負い投げる。
 琥珀は下手に抵抗せず、即座に薙刀を手放して自分から倒れるように受け身を取って距離をとった。合気道の前回り受け身にも似た俊敏な動きだ。

「有効!」

 霧が晴れ、審判の判定が響く。

 刀会は呪術の使用も許可された実戦的な試合だ。それゆえ骨身に染みるほど打ちこんで技あり、気絶させたら一本というくらいなので、これは珊瑚にとっては有利な流れだ。

「や、やったの!?」
「いったい霧の中でなにが?」
「水行符を使った霧からの奇襲はダミー。本命は霧に隠れて作った簡易式による攻撃のダブルダミーだ。霧が濃いあいだに簡易式を形成し、薙刀を持たせる。『突進しろ』『あいつを攻撃しろ』などの簡単な命令を与えただけなので今の珊瑚でも琥珀をだませるくらい精巧な式神を作れた。組み打ちに持ちこめば薙刀のリーチを活かせないし、両手を使うモーションからとっさに防御することもできないとふんだのだろう。だが琥珀はちゅうちょなく武器を手放し防御行動をおこなうことで被害を最小限におさえたんだ」
「うわぁ、二人ともすごいね!」
「ええ、まさか珊瑚さんがこんな戦いかたをするだなんて、思ってもみなかったです」

 だが仕切り直しの後の戦いでは琥珀は終始攻めに徹して、珊瑚を圧倒。主導権を与えることなく勝利した。

「小手先の奇策ばかりで話にならないわね、もっと腕をみがいて出直してきなさい」

 紅葉と同様に一方的に攻撃を受けて敗れた珊瑚は肩を落として席に戻った

「めんぼく次第もございませんわ……」
「そう肩を落とすことはない、最初の水行符といい簡易式をダミーに使った手といい、見事な策だったぞ」
「でも結局は負けてしまいましたわ、琥珀さんの言うとおりしょせんは小手先の奇策。純粋に実力のあるかたには通用しません」
「兵は欺道なり。という言葉があり、呪術の真髄は嘘だと言う。奇計奇策も立派な呪術であり、人の知恵のなせる技だ。今回はそれこそ純粋に相手が強かっただけで、戦いかた自体はまちがっていない。……
人の知恵と技術に限界はない、これからも精進するといい」
「押忍! ごっつぁんです男塾先輩!」
「え? いやだからおかしいですよね、その人の名前。男塾て……、なんで珊瑚さんまで自然に受け入れているんですか? だって男塾ですよ、男塾っ!」
「なにごちゃごちゃさわいでるの、次はだれが相手を
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