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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 3
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かせた。

「どうだッ! おまえのお望みどおり責任をとらせてやったぜ、感謝しな!」
「やめろ!」

 甲種言霊の呪縛を断ち切って鏡につかみかかろうとした桃矢だが、呪力の縛鎖が鉛の重さで全身を縛り、水の中を進むように遅々とした動きにしかならなかった。

「自分の式神になんてひどいことをするんだっ!」
「おまえが望んだことだろうが、それをやめろだぁ? おとなしく聞いてりゃつけ上がりやがって。十二神将相手にチョーシくれてっと錆びた刃物で研ぎ殺すぞ、ゴラァ!」

 桃矢の胸元をつかみ力まかせに叩きつけようとした鏡の動きが止まった。

「んぁ? おまえ男だったのか?」
「そうだっ、僕は巫女クラス唯一の男子生徒。梅桃桃矢だ!」
「プハッ! 二度も笑わせてくれるじゃねぇか。男のくせに女装して巫女さんごっこだと? いつから
陰陽塾はオカマ野郎の面倒まで見るようになったんだ?」

 身体が動かせないのならせめて口を動かそう。四方八方から巫女達が口撃する。

「ちょっとあんた、土管だか独立官だか知らないけど『古事記』や『日本書紀』を読んだことないの?
 ヤマトタケルノミコトだって女装してるじゃないの」
「そうよ、皇室の御先祖様のしたことにあやをつける気!?」
「織田信長は女装趣味があったし、源義経は女装して弁慶と戦って勝ったのよ!」
「武士道なんかよりも女装のほうがよっぽど古い歴史と伝統を持っているだから」
「あんたみたいに日本の歴史と伝統と文化をないがしろにするやつを反日分子って言うのよ」
「食事だって洋食よりも和食のほうが健康にも美容にも良いんだからね!」
「でも和食は塩分が多いから高血圧の人は気をつけなくちゃいけないのよ」
「高血圧の人は日本蕎麦を食べるといいわ。お蕎麦にふくまれるルチンが血圧を下げてくれるのよ」

 洪水のようないきおいで論旨がずれていってるが、いずれも桃矢を助けたい一心で舌を動かしていた。

「黙れ」

 ふたたび鏡の甲種言霊が響く。身体の動きのみならず、言葉を発することすら強制的に止められてしまった。

「ぴーちくぱーちくうるせぇんだよ、メスジャリが。十二神将相手にチョーシくれてっと全身の毛ェ抜き殺すぞ」

 女子供でも容赦はしない。小うるさいガキどもに大人の厳しさと世の中の不条理さってのを教えてやろう。
 鏡の全身から発せられた霊圧を感じ、桃矢を始めとする巫女達に恐怖と緊張が走る。

「どれ、ちょいと炙ってやるか……」

 鏡がなんらかの呪を唱えようとした、その時。
 場の雰囲気にそぐわない、えらく緊張感に欠けた言葉がどこからか聞こえてきた。

「カンフー映画あるある〜」
「あるある〜」
「高いところから主人公が敵を蹴っ飛ばすと別アングルでリプレイされて、
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