三章 天への挑戦 - 嵐の都ダラム -
第28話 王都ダラムへ
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きているということに気づいた。
「なんかティアは意地悪だね」
「あら、今さら気づいたの?」
そう言って腕を回してきて、首を絞めるフリをしてくる彼女。
「開き直ってるし……」
口ではそう返したが、彼女の腕から、元気づけようとしてくれている気遣いが十二分に伝わってきて、シドウは心の中で感謝した。
* * *
城に到着すると、一同は身分を提示し、大臣との面会を希望した。
もちろん事前の約束はなかったわけであるが、緊急を要する話ということで許可が出た。
大臣の執務室にて、今後世界を揺るがしかねない『生前の記憶を保持したアンデッド化』について、シドウは目撃者として一生懸命に説明した。
だが――。
「報告についてはよくわかった。今回のマーシアの町の対応については問題ないだろう。今後の対策については、またじっくり各ギルド長や関係者と協議して決めたうえ、ダラム傘下の全都市でそれを共有することにしよう」
髪も髪も白混じりな初老の男性――大臣。彼からの返事には、期待したほどの危機感は見えなかった。
心配になったシドウは、城門を出てからすぐにマーシアの町の役人に尋ねた。
「これで大丈夫なのでしょうか?」
「マーシアの町として問題はない。あとは王城側がどう対応するかだからな」
報告の義務は果たしたということで、役人も一仕事終えた顔をしてしまっている。
シドウはなんとなく足を止め、後ろを振り向いた。
城の入口の扉が、ゆっくりと閉じられていく。
その様を不安な気持ちで見つめた。
すると、扉は最後まで締まらず、僅かな隙間がある状態で止まった。
「……?」
その不自然さにシドウは首をひねったが、すぐに扉が逆に動き始めた。
そして広がった隙間から、一人の兵士が慌てて飛び出してきた。
その兵士は息を切らせ、「よかった。間に合った」と言って続けた。
「シドウさん、ティアさん。女王様への謁見をお願いします」
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