三章 天への挑戦 - 嵐の都ダラム -
第28話 王都ダラムへ
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こで別れましょうというのはおかしなことではなく、それを引き留めようとするシドウのほうが無礼にあたるのだ。
反論できる材料がないことに気づき、ようやくシドウは折れた。
「きっとまた会えますよ、シドウくん」
アランは町の出入り口まで見送りに来て、亜麻色の髪の上に手のひらを乗せた。
シドウはうなだれて馬車に乗り、引き続きティアやマーシアの町の職員らとともに、王都ダラムを目指した。
* * *
この大陸の南東岸には、大きな湾が存在する。
そしてその湾には、大陸有数の長さと流域面積を誇る大河が注いでいる。
ダラム王都は、その大河の下流部に位置している。
方角的にはマーシアの町からほぼ真南である。
高さはないが、頑丈そうな石造りの建物が延々と続く街並み。それがこの都市の最大の特徴だ。
その中心にある王城も、他の都市の城に比べ背こそ控えめではあるものの、圧倒的な太さの主塔を擁し、力強い形貌となっていた。
重厚。
ダラム王都の景観を一言で表すならば、そうなるだろう。
そしてその独特な景観には必然性があるということを、シドウは知っていた。
毎年、今くらいの時季になると、この地域は激しい暴風雨に見舞われることがある。軽い建材の建物や、背の高い建物を建てるのは不適切なのである。
ちなみに、シドウは師匠より、その暴風雨は『熱帯低気圧』であると教わっていた。
無事にダラム王都に到着した一行は、まず冒険者ギルドへの報告をおこなった。
冒険者ギルド長は驚きながらも、「すぐに王城へ報告に行きましょう。私もお供します」と、みずから付き添いを申し出て、一行はすぐに王城へと向かうことになった。
マーシアの職員三名、ダラムの冒険者ギルド長、そしてシドウたち二名。合計六人で、王城へと続く石畳の大通りを進む。
「アランさんがいないと少し不安だ」
マーシア職員やダラム冒険者ギルド長らの後ろで、シドウはそうつぶやいた。
もはやどこでどんなアンデッド事件が起きても不思議ではない。マーシアの件では彼の冷静な判断力に助けられた部分が大きかったが、その彼がいない。口からつい不安が出てしまったのだ。
「あら、私だけだとそんなに頼りないの?」
「そういう意味じゃないって」
隣のティアに突っ込まれてしまったシドウは、少し慌て気味に否定した。
「だいたい、アランはナルシストで気持ち悪かったじゃない」
「たしかに気持ち悪かったけど、あの人は大人だったし」
「えー? 何それ。私が子供ってことー?」
「そうは言ってないよ」
「じゃあどういうことー?」
「……」
シドウはティアのわざとらしい顔を見て、あえて面倒くさいことを言って
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