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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 2
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、あなたは幻を、幻覚を見せられていたんです。……周一さん、あなたはライターでもなんでもありません。ただの無職です」
「ち、ちがうっ! ちがう! ちがう! ちがう! おれは、おれはッ……」
「食事だってそう。あなたは毎日美味しい手料理を食べていたつもりでしょうが、ほんとうはここひと月の間、ほとんど水しか口にしていません。このままでは、餓死します」
「!?」
「現実にもどって来てください、周一さん。すべては幻だったんです。売れっ子のライターで仕事をバリバリこなしているというのも、あの『女』と結婚しているというのも」
「うそだっ!」
「――そうよ、うそよ。周ちゃんに変なことを吹き込むのはやめて」
ずるり、どさり、ずるり。二階から降りて来るものがいる。
「周ちゃんはあたしの旦那様よ。この部屋でずっとずっとずっと、永遠に幸せに暮らすのよ」
ずるり、どさり、ずるり――、ずるり、どさり、ずるり――、ずるり、どさり、ずるり――。
うごめくものがあらわれた。精巧な作りをした等身大のシリコン製ドールが地を這い、人の言葉を発して近づいて来る。かつてはなめらかで美しかったであろう肌は薄汚れ、全身に亀裂が入っていた。場所によってはシリコン製の皮膚がめくれ、ワイヤー制の骨格が露出していて、ひどく不気味だ。
「ひぃっ、動いてる!?」
その異様な姿を目にした老母は恐怖に後ずさり、手にした数珠を強くにぎりしめた。
「タイプ・マテリアル……! 人形が核になったせいで思ったよりもずっと早く動的霊災化しちゃったみたい」
「あれをよく見るんだ周一さん。瘴気に穢された部屋の外でなら、あいつの正体がわかるでしょう?」
「ああ、由衣、由衣、ゆかり、ゆかり、奈々、奈々、遥、遥、美菜子、美菜子――。おれの妻だ、おれの妻たちだ――」
鼠蹊部から腐臭を放つ動く人形に頬ずりするようないきおいで近よった周一はそのまま『妻』の腕に抱かれ、歓喜の涙を流す。
「くっ、よほど強く暗示がかかっているみたいだな。部屋から出ても目が覚めないだなんて」
「もう部屋とか関係ないわ。瘴気をまき散らすあの人形が存在する限り彼は正気にもどれない。全力で祓うわよ」
巫女達は手にした弓に呪力を込めて臨戦態勢にうつる。
「ずっとずっと、一緒に、ずっとずっと、おれと一緒にいてくれぇぇぇ」
「もちろんよ、あたしはいつでも周ちゃんのそばにいる。周ちゃんの味方よ。……でも、ここにはあたし達の邪魔をする人がたくさんいるわ。だからだれにも邪魔されない、あたし達だけの場所に行きましょう」
「え?」
人形の手に光る物がにぎられていた。どこから持ってきたのか、鋭利な刃をした果物ナイフだった。
周一目がけて刃が走る。
「周一〜っ!!」
木行符で縛
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