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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 2
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ているのに目だけは爛々として、魔物のようでした」
「見た目もひどいがそれだけじゃない、現実から目をそむけて自分だけの世界に没頭していた。人とはああも簡単に壊れてしまうものなのだろうか……」
「元凶を絶てばもとに戻るわ。今は霊災修祓に集中、わかった?」
「あ、ああ――」
「――高天原天つ祝詞の太祝詞を持ち加加む呑んでむ。 祓え給い清め給う――」
三人の巫女たちは口々に最上祓いの祝詞を唱え、かまえた弓の弦を引いて音を鳴らしている。
鳴弦。弓に矢をつがえずに弦を引き、音を鳴らすことにより邪気を祓う退魔の儀だ。
神聖な呪力の込められた音が響き、あたり一帯を霊的に浄化する修祓方法。
巫女たちの儀式の横では周一の母が数珠を手に一心不乱に祈っている。ただしこちらは儀式とは関係ない。彼女たちの術が完成して息子が救われ、もとの生活にもどれるよう、神仏にすがっているのだ。
効果はすぐにあらわれた。
部屋の中で愛し合っていた周一とその妻だったが、祝詞が聞こえてくると妻が突然苦しみだしたのだ。
「あなた、お願い。あ、あの呪文をやめさせて……。苦しい、体がこわれそう……」
よくはわからないが階下から聞こえる呪文が妻を苦しめているようだ。血相を変えて部屋から出て下に降りた周一は儀式を阻止しようと巫女たちに拳を振るう。
「いいかげんにしろーっ、いったいなんのつもりだ! 綾を苦しめるやつはゆるさない、綾はかならずおれが守るんだっ!」
「縛り、絡めよ。
急急如律令
(
オーダー
)
」
琥珀の投じた木行符が青いつる草に変じ、周一の身を縛り上げた。
「くそっ、なにが目的でこんなことをするんだ!?」
床にころがった周一は瞋恚に満ちた目で巫女たちをにらみつけ、悪態をつく。そんな周一の視線を正面から受け止めて、紅葉はゆっくりと説明する。
「やっと部屋から出られましたね。私たちはあなたの親戚なんかじゃありません、あなたのお母さんに頼まれて霊災修祓に来た陰陽塾の者です。あなたはあの『女』に憑かれてずっと幻覚を見せられていたんです。あの部屋の中にいる限り、ずっと虜にされていたことでしょう」
「なにを言っているんだ、わけがわからない。おれたち夫婦の仲を邪魔しないでくれ、彼女は良くできた妻なんだ。彼女の献身のおかげでおれは順調に仕事ができて幸せに暮らして――」
「これを見て。あなたの書いたっていう作品なんて、どこにもないでしょ」
横から琥珀が数冊の雑誌を手渡す。ページをめくり確認する周一が動揺の表情を浮かべた。
「――どういうことだ、おれの書いたコラムがない。――こっちも、こっちも、これもおれの小説が、書評が、どこにも載ってない。消えている……」
「消えたのではなくて始めから載ってありませんの。先ほど紅葉さんが言ったでしょう
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