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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 2
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ろう、君と出会えて最高に幸せだよ」
「あたしも周ちゃんに出会えて最高に幸せよ……」

 独りで生きていたころは孤独なんてないしたことないと思っていた。本物の女なんていなくたって、アニメやエロゲーでじゅうぶんだった。
 でも、今はちがう。もう独りにはもどりたくない。

「あたしもよ」

 由衣がやさしく微笑む。

「あなたはあたしのすべてを受け入れてくれた最初の人よ。……ねぇ、まだ起てる?」
「もちろんさ!」

 二人はふたたび愛し合い始める。押し殺した嬌声が部屋の中に響く、そのとき――。

「周一! 入るわよ、周一!」

 返事もまたずに部屋の引き戸が開き、年老いた女が姿を見せた。

「な、なんだよ母さんっ、いきなり入ってくるなんて、『ゆかり』もいるんだぞ、少しは気を使ってくれよ」

 ゆかり、と言った。周一は先ほど由衣と呼んだ女性のことをゆかりと呼んだ。

「あ、ああ……、周一……。周一……、ごめんよ、ごめん……」

 悲しげな顔をしてなにかをうったえかけようとした老母をさえぎり、周一は声を荒げる。

「いいかげんにしてくれないか、母さん! おれは仕事もやっているし、奈々というかわいい嫁ももらった。いったいなにが不満だって言うんだよ!」

 こんどは奈々だ。
 由衣、ゆかりと呼んで、奈々と呼んだ。

「あ、ああ……。そうだね、そうだね。おまえは良い息子だよ、うん……。あ、あのねぇ、親戚の子が来てるんだよ、紅葉ちゃんて子なんだけど……」
「そんな子いたっけ? 記憶にないなぁ」
「ち、千葉のおじさんのとこの紅葉ちゃんよ。東京の学校に通うことになったからあいさつに来てさ」
「遠くの親戚なんて他人みたいなものだろ、めんどくさい。おれは合わないよ、母さんが相手しろよ。……さぁ、出てってくれ」

 うむを言わさず老母を部屋から追い出した周一は舌打ちをして引き戸を閉めた。

「まったく、ほんといやになるよ、母親ってのは。ノックもなしにドアを開けるし頼みもしないのに部屋の掃除をするし」
「そんなに悪く言っちゃダメよ、お母様なのに……」
「遥はやさしいなぁ」
 遥と呼ばれたモノはやさしく、ただただやさしく周一に微笑み返した――。

 ホクホクとした黄金色のじゃがいも、あめ色の玉ねぎ、出汁が染み込んでやわらかくなったインゲンとにんじん、ボリュームのある薄切り肉。周一は妻の用意した肉じゃがを一口食べて称賛の声をあげた。

「美味い! 美味しいよ、美菜子の作る料理はいつも最高だな」
「うふふ、周ちゃんってば……」

 しばらくの間舌鼓を打ち、料理をたいらげると先ほどの話になった。

「――どうも親戚ってのがきらいでね、なるべく顔を合わせたくないんだ。なんか昔いやなことを言われたよ
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