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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 2
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たがいに一歩もゆずらない。両者の板挟みとなり困惑する眞白。

「……おれからの案件だ」
「「「」は?」」」
「おれからの案件。『おれから除霊した悪霊を式神にしてくれ』だ。母さんは払ってくれと依頼したんだろう? 修祓じゃなくて落としただけでも案件達成でいいはずだ。修祓する、消し去る必要はない。そうだろ?」

 詭弁だ。祓うイコール修祓ではないか。しかし一応は理屈に合わなくもない。

「まぁ、それはそうかもしれないけど……」
「落とした悪霊を修祓せずに式神として生かして欲しい。さっきの話じゃ、陰陽庁や陰陽塾ならそういうことも可能なんだろ? ちゃんと外に出て働いてきちんと報酬は払う。……もう引きこもりはおしまいだ。頼む!」
「周、チャン……? ドコカヘ、行ッチャウノ? アタシハイラナイノ?」

 土下座する周一を見て不安げな声を出すドール。
 彼女は殺すつもりで周一にナイフを振るったのではない。ただ一緒にいようと、『主』である周一の願いをかなえようとしただけだ。
 そして元凶である周一が正気にもどったせいか、その身から発する瘴気が弱くなっていた。霊気が、安定しつつある。

「おれはどこにも行かないよ、サユリ。ただちょっと人並みに外出するだけさ。……あ、ああ、そう言えばまだ一度も本当の名前で読んでなかったな」

 サユリ。 

 本当の名、と言っても製品名のことなのだが、それが彼女につけられた名前だった。

「……もう、わかったわ。その依頼、受理してあげる」 

 大の男に土下座され毒気を抜かれた琥珀は不承不承にだが周一の案件と紅葉の意見を受け入れることにした。
 その後、陰陽庁に回収されたサユリは浄化処置を受け、庁内の案内係をしている。畳の付喪神が人に座って欲しいように、刀剣の付喪神が闘争を欲するように、愛玩用に作られたサユリには人の役に立ちたいという本能があるからだ。
 周一は慣れない労働に四苦八苦しつつも、音を上げることなく仕事を続けている。
 万事が上手くおさまったように思えたのだが、琥珀と紅葉の間に生まれた確執は深まり、紅葉は壱番隊を抜けることとなった――。





「そんなことがあったんですか……」
「でもね、琥珀さん本当は紅葉さんに帰ってきて欲しいと願ってると思うの。未練があると思わない? だって紅葉ちゃんの代わりに壱番隊に入った七穂氏白亜ちゃん、紅葉ちゃんとキャラかぶってるでしょ?」
「ま、まぁ二人とも黒髪ロングで凛々しい感じは似てますけど」
「そこっ。開会式が始まるぞ、私語はつつしむ!」

 はじまりの言葉。道場訓が読み上げられ、ついに試合が始まった。
 第一試合。緋組拾参番隊・二之宮紅葉 対 白組一番隊・四王天琥珀。
 両者が刃を交える――。

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