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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 1
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桃矢にまともに呪術を行使する余裕はなかった、もっぱら素手による組み打ち中心の模擬戦。秋芳は顔面や股間といった急所には寸止めしたが、それ以外の場所には攻撃をくわえた。もちろんじゅうぶんに加減しての攻撃だ。
対して桃矢のほうもぞんぶんに拳脚をふるい、教えられた技を実践して見せる。
「まだまだこんなもんじゃないはずだ、相手を傷つけまいとインパクトの瞬間に無意識に力を抜いているな。俺は平気だから全力を出せ」
刀会は一試合五分ということで、それを想定して五分間スパーリング、インターバル一分のフリーバトルを五回ほどおこなった。
(ほう、体さばきや足のはこびといった技術面にくわえて筋力や敏捷性もなかなかじゃないか。こうして実際に拳を交わしてみると、それが良くわかる。非常に高い水準の身体能力が身にそなわっているな)
桃矢の全身に心地良い疲労感が広がる。秋芳に打たれた場所や秋芳を打った手足には痛みが残るが、けして不快なものではなかった。
悪意や敵意のともなわない、純粋な武技によって生じた痛み。それは――心地良いものに感じられた――。
「――よし、今日はこのくらいにしておくか。さて、運動の後の一杯といこう」
「ボク、フローズン・ダイキリ」
それまで一言も話さず、秋芳と桃矢の組み手にも我関せずにカウンターのすみで携帯ゲーム機をいじっていた笑狸が口を開いた。
「そうだよな、夏といえばフローズン・ダイキリだよな」
「……でも今は十一月ですよ?」
「いいんだよ、俺の中では気分は八月なんだ」
秋芳はなれた手つきで酒瓶をたぐり、メジャー・カップでラム酒、ライムジュース、ホワイトキュラソーを量り、クラッシュドアイスと一緒にブレンダーにかけた。
砂糖やシロップはくわえない、ワイルドダイキリスタイルだ。
「桃矢はなにか飲むか?」
「僕はお水でいいです」
「なにぃ? 俺たちが酒を飲んでいるのに、一人だけノンアルコールだと?」
「だって僕は未成年ですよ。いいんですか? 学校の先生が教え子にお酒なんかをすすめても」
「俺は塾の講師であって学校の教師じゃない。はい、とある高名な苻咒師は言いました『戦った後は酒で憎しみを追い出すのさ』と、それに酒は憂いを掃う玉箒というぞ。今日の憂いは今日の酒で流すんだ」
「僕はべつに憎しみの心とかありませんし、今の運動で汗をかいたらなんだかスッキリしたから憂いもないです。……でもそこまで言うなら軽くてサッパリしたのを一杯ください」
「いや、でもよく考えてみたら未成年に酒を飲ませるのって普通にダメだよな。水にしとけ」
「飲ませたいのか飲ませたくないのか、どっちなんですか!」
「大人の楽しみは大人になってから経験するのが一番だ。若くして知っちまうと、それだけ後の人生の楽しみが
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