暁 〜小説投稿サイト〜
東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 1
[9/20]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
も広がっていた。空間そのものだ拡大したのだ。

「道教系の呪術に縮地というものがある。地脈を縮めて長距離をわずかな時間で移動したりするやつだ。今のはその逆をしたのさ」

 世界を循環している陰陽五行の気の流れ、濃淡がさまざまな地形を作りだし天候を左右する。陽の気が濃ければ生命の成長に良く、そこに住めば家は栄える。風水は地形などから地脈の流れを読み説く技術であり、それは空間の構造を変化させる呪術にもつながる。

「さぁ、広くしたぞ」
「……わかりました、お願いします」
 瀟洒な雰囲気の薫る店内で、無骨な訓練が始まった。
 
「後ろに避けるのと後ろに退くのとはちがう。人間は後ろにさがるよりも前に突進するスピードのほうが速い。バックステップを続ければ追い込まれるぞ、相手の攻撃をさばいて側面にまわりこめ」
「はい!」
「攻撃と防御を別々に考えるな、動きにパターンが生じて読まれやすくなる。攻防一体を旨にするんだ、これは呪術も一緒。突いたり蹴ったりするように術を使え、切り替えるような間を生じさせるな、流れるように動け」
「はい!」
「正面に立って打ち合うことが正面を突くことじゃない。自分にとっての正面を作ればいいんだ、相手の正面に合わせる必要はない」
「はい!」
「打撃は相手と接触するためのきっかけにすぎない。自分から相手との接触点を作って手首をつかんだり、横や後ろにまわったり、投げたりと変化するんだ。打撃、さばき、つかみ、くずし、投げを一貫させろ」
「はい!」
「一の瀬朱音とジャンボパフェを食べたんだって? いいなぁ、ちなみにパフェの語源はフランス語のパルフェで、その意味は『完全』。六月二八日はパフェの日で、一九五〇年のその日に巨人軍の藤本英雄という投手が日本プロ野球初のパーフェクトゲームを達成したことにちなんでいる」
「ちょ、その豆知識は今の訓練となんの関係があるんですか!?」
「ツッコむひまがあるなら身体を動かし呪力を練ろ!」
「おまえがオーディオドラマの音響監督だったとして、脚本に『夜の街を音もなく走る』というト書きがあったら、どう録る?」
「え? ええっ!? ええ〜と、どうしよう……」
「すきあり!」
「あ痛っ」
「今のが乙種呪術による精神攪乱だ」
「いや、ちがうでしょ!」
「いやいや、マジで。扇を閉じる音でも相手の集中を乱せば立派な乙種呪術だ。て、天海大善がテレビだか広報誌だかで述べてただろ。乙種ってのはそういうものだ」
「じゃあ秋芳先生がオーディオドラマの音響監督で、渡された脚本に『夜の街を音もなく走る』て書いてあったらどう録るんですかっ?」
「普通に無視して走る音のSEを入れる。もしくは登場人物に『俺は夜の街を音も立てずに走っていた』とモノローグで言わせる」
「なるほどなー」





[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ