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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 1
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の行為に有用性はあるのかと正直疑問に思っていたが、考えてみれば生きた人間を相手にするのは良い訓練になる。
 あらかじめ入力された動きしかできない簡易式などと異なり生きた人間の反応は千差万別だし、なにより血肉の通った生身の人間と相対する経験を重ねるのは大事だろう。
今の桃矢にもっとも必要なことだった。

「百冊の本を読むより一人の人間に会え、か……」
「え? 今なんて言いました?」
「いや、気にするな。それより対人呪術戦の訓練ならちょうど良い相手がいる、陰陽師クラスの土御門春虎ってやつなんだが」
「え、あの土御門ですか!?」
「そう、あの土御門だ」
「陰陽師の大家じゃないですか、そんなすごい人の相手なんて無理ですよ」
「すごいのは主のほうの土御門だよ。いや、春虎は春虎で非凡なところがあるが」

 秋芳は春虎と夏目。二人の土御門のことを簡単に説明した。

「模擬戦なんだからそんなに気張ることはない。それに行動する前から無理だと決めつけるものじゃないぞ、呪術者同士の戦いや霊災の修祓には『絶対』だの『百パーセント』なんてないんだ。相手の使う術。霊気や瘴気の種類や強さなんてわからないのが普通だ。ほんの一瞬のおびえやひるみ、弱気が一発逆転、起死回生の致命傷になる。一見した霊力や瘴気の総量が多い少ないなんて気休めにもならない。生きるか死ぬか、勝ち負けなんてサドンデスがあたりまえ。それが呪術戦であり、戦闘そのものだ。だが、それでも絶対に勝つ気で挑むんだ。霊力や手数の多寡で勝敗が決まるのではなく『勝つ』という気概をより強く持った方が勝つんだ」

 これは以前にも京子に言った言葉であり、秋芳の思想をあらわしていた。

「春虎には話をつけておくとして、今日は俺が組み手につきあおう。刀会の本場同様に呪術の使用もありだ」
「え、ええっ!? 今からここでですか?」
「なにをおどろく。いつ何時戦いになるのかわからないのが実戦というものだぞ、思い立ったが吉日だ」
「でもこんな狭い場所じゃあぶないです。椅子やテーブルにぶつかりますよ」
「まさにそれだ、なにもないのは道場だけ。まわりにあるすべてを武器にするんだ。『ザ・レイド』という映画を観てみろ、壁なんかの角に相手をぶつけまくってて、ケンカの参考になるぞ。とはいえ稽古でそんな危険な真似はできないからな、広くしよう」
広くするといっても椅子やテーブルを壁によせたとして、できるスペースはたかが知れる。桃矢がどうするのかと問おうとした矢先、秋芳が導引を結び口訣を唱えた。

「我知世理広地、疾く」

 我、世の理を知り地を広げる。周囲にあった椅子やテーブルが十メートル以上も遠ざかった。桃矢は瞬間移動でもしたのかと思ったがそうではない。床が、のびたのだ。変化があったのは床だけではなく、部屋の奥ゆき
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