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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 1
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災修祓が主な役割だが、昔は陰陽師といえば卜占。占いが主流だった。怨霊だの祟りだのを鎮める宗教関係は神祇官という神道系の人らがになっていたんだ、君たち巫女クラスのほうがそれに近い。で、卜占なんだが式盤だの筮竹だのいろいろと占う方法はあるがいずれも万能ではない。陰陽師だからといってすべてがわかるわけじゃない」
「大きな天変地異は天文、星の動きである程度の予測はつく。だが一人一人の身に降りかかる細かい事象までは普通は読み切れない。異変の卦が出てもそれがなにを示しているかは卦を読んだそれぞれの陰陽師の解釈によって大きく変わってくるんだ。凶事も見方を変えれば吉事となりえる。結局は起きてからじゃないとわからないのさ」

 卜占そのもの、ひいては陰陽師への否定ととらえかねないような発言。

「しかし人という生き物はそれでは不安で不安でたまらない。自分や親しい人に災厄が降りかからないように悪いことよりも良いことが多くなりますようにと願わずにはいられない。陰陽師はその手助けができる、たとえば凶事を吉事に乙種呪術で変えるというもの。中国の明の時代、燕王という皇族に仕えた姚広孝(ようこうこう)という人物がいる。この人は政治家だが出家して仏教や陰陽術を学んだ宗教家でもあった。ある日のこと主である燕王はみずからが皇帝になろうと兵を挙げた。その時に突風が吹いて燕王の屋敷の瓦が落ちて割れてしまった。大事の前にこんなことが起こるだなんて不吉だ凶事だと言って一同がざわめくなか、姚広孝ただ一人が『これは吉兆である、このような古い瓦を壊して新たに黄色い瓦に替えよという天意である』と言ってその場の空気を変えてみせたんだ。あ、なんで黄色い瓦かというと、当時は黄色い瓦は皇帝のみが使用できたからだ」
「陰陽師の言葉一つで吉にも凶にもなる。だが機転を利かせるのに失敗した例もある。壇ノ浦の合戦のさい、平氏方には安倍晴信という陰陽博士が同行していた。海上で船を並べ源氏とにらみ合いをしていた時のこと、沖のほうからイルカの大群が進んで来るのが見えた。これは吉か凶かと平氏の大将が晴信に問うと『イルカが引き返せば吉で源氏が滅び、通り過ぎたら凶で平氏危うし』と答えたところ、イルカは平氏の船を間を泳いで通り過ぎて行き、志気がガタ落ちしてしまったという。――なんで晴信はイルカが引き返せば吉だと言ったかというと、当時の陰陽師は一種の博物学者で海洋生物の習性にも通じていた。イルカは本来ならば臆病な性格なので、それが大量の船団にむかって押し寄せることはない、方向を変えるだろうと判断したのではと俺は思っている」
「陰陽師は今でもお偉方に請われて吉凶を占う時があるし、君らも巫女として託宣を求められることがあるだろう。だがそのさいに出た卦や降りた言葉をバカ正直に伝えるだけではいけない時もある」
「時には機転を利かせるこ
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