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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 1
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におおわれたデカ盛りサイズのパフェに火のついた花火が何本も刺され、火の粉を散らす。
 朱音の見つけたフルーツパーラー名物のビッグバンパフェだ。

「あははははっ、すごいね、すごいね!」
「う、うわぁ……。いいのかな、食べ物でこんなことして」

 気おされつつもスプーンを手にして甘い塊を口にする。たしかに美味しい。
 体調管理に余念のない紅葉と珊瑚をおいて、朱音と共に甘味を堪能する。二人で一つの器に盛られたパフェを食べる。これはまるでデートの一場面、恋人どうしじゃないか。そう思うと急に気恥ずかしい気持ちがわいてくる。

「でねでね、その子ってのがね――」
 しゃべる、食べる、しゃべる、食べる、しゃべる、しゃべる、食べる、食べる、食べる、しゃべる――。
 つねに口と手を動かし、せわしない朱音に合わせるのは大変だった。こちらはしゃべるか食べるか、どちらか一つに集中しないとできない。よくも器用におしゃべりと食事ができるものだなぁ。桃矢はあらためて女子の能力に感心した。男子には真似できない特殊技能だ。

(たしか男性と女性では右脳と左脳をつなぐ脳梁が女性のほうが太くて、そのため女性は男性にくらべ、複数のことを同時にこなすのが得意。だったっけ)

 秋芳の吹聴したあやしい豆知識が脳裏をよぎる。

「ところで賀茂先生の授業っていつも脱線しちゃうよね」

 偶然であろう、桃矢が秋芳のことを考えていたら朱音の口から秋芳のことが話題に出た。

「この前の乙種呪術のお話はおもしろかったね。なんだっけ? 呪術の神髄は……」
「嘘である?」
「そう、それそれ!」

 呪術の神髄は嘘である。
 土御門夜光が言ったとされる、有名な言葉だ。この前後に色々と言葉がつらなるのだが、そのことよりも秋芳の解説が耳に残った。



「戦国時代には様々な呪術的・宗教的なタブー、禁忌が存在した。たとえば血の穢れ、女性の月経のことだな。女には血の穢れがある、甲冑を身につけた後で女に触れてはいけない。もし触れたら血を流すことになる……。だがこれはいわれのない女性差別ではなく、乱取り防止のための方便。乙種呪術とも解釈できる」
「乱取り。合戦の後で兵士たちがおこなう略奪行為のことだが、当時の戦国大名は雑兵たちのおこなう虐殺や略奪、凌辱行為を認めていた。自軍の志気の上昇、敵国の弱体化にもつながるからで、義将と呼ばれた上杉謙信でさえ、このような蛮行を黙認していたんだ」
「頭ごなしな規律でそれを抑えるのはむずかしい。さぁ、そういう時の呪術だ。雑兵たちが暴徒化して女性を襲わないように、そういう呪をかけたのさ。無知蒙昧な輩なら本気にして恐れ、知恵者ならば真の意味を察する。そういう呪だ」

 桃矢がおもしろいと感じた話は他にもあった。

「今でこそ霊
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