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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 1
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「いや〜、語ったわ〜。上条さんばりに口舌をふるったわ〜。と思ったけど、あの人は四ページにわたって長科白を言ってるから、俺なんてまだまだだな。――それじゃあもう一勝負、こんどは呪術のみでやってみよう」
「え〜、呪術しばりとか無理だって!」
「言ったそばから『無理』とか自分に呪詛をかけない! 苦手な分野を克服する良い機会じゃないか。つうか夏目からいろいろと教えてもらってないのか?」
「授業について行くのもやっとなのに、そんな余裕ねえよ」
「だから授業で教わらないような実践的なやつをだよ」
「う〜ん、九字切りとかなら……。他にもなんかあったけど、おぼえてない。術理とか術式とかサッパリなんだよ。……なぁ、頭の良くなる呪術とかないか?」
「あるぞ」
「マジで!?」
「求聞持聡明法といってな、無限の記憶力と知恵を手に入れることができると言われる術で、かの弘法大師空海が高知県の御厨人洞で修行し、身につけたという密教の秘法だ」
「すげぇ! 教えてくれ」
「まず外界から隔絶された場所にこもり、心を無にした状態で印を結び虚空蔵菩薩の真言を一日に一万回唱える。それを百日の間続ける」
「は?」
「首尾よく進めば阿頼耶識に通じることができる。このとき阿頼耶識に飲まれれば魂を持っていかれ自我が消滅するから気をつけろ。さらに阿頼耶識より生じた魔に魅入られることもある。この魔とは原始から未来に至るまでの人の記憶そのものであり、まともに受け入れればその情報量の多さに常人の脳は耐えきれず焼き切れてしまうだろう。そうなれば命が助かったとしても廃人だ。阿頼耶識に飲まれず魔にも捕われず、真の智慧までたどり着くことができれば成功だ」
「……秋芳はそれ、したことあるのか?」
「するわけないだろう、こんな危険な呪術」
「もっと安全でお手軽に頭の良くなる呪術はないのか!?」
「知恵と学問を司る八意思兼神(やごころおもいかねのかみ)の祝詞を唱えることで一時的に頭の回転を速める術なら……」
「それはどういう術なんだ?」
「これこれこういう術式で――かくかくしかじか――術理は――うんぬんかんぬん――祝詞は――」
「長い! わけわからん! おぼえられるか!」
「武の道にも呪の道にも近道なんてないんだよ、地道に勉強しよう。あの大陰陽師、安倍晴明だって陰陽寮入り。つまり陰陽師になったのは四十になってからで、活躍したのは五十、六十の頃。遅咲きの人だったみたいだが、それだってそれまできちんと勉強していたからこそ遅くにでも花開けたんだ、のんべんだらりと過ごしていたわけじゃない」

 安倍晴明が陰陽師として歴史の表舞台に登場したのは齢四十を過ぎてから。それまでは大舎人寮という部署に属する下級官吏で、宮中の雑務をこなしていた。
 西暦九六〇年。内裏で起きた火災により守護の霊剣
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