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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 1
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毛利元就、尼子経久、宇喜多直家……。彼らはいずれも謀将と呼ばれる策略家で、冷酷な印象があるが、三人とも家臣はとても大事にしていた。直家など暗殺や謀殺のエピソードにこと欠かないが、暗殺を実行させた者を使い捨てたり口封じしたりせずに、その後も厚遇している。
「へぇ、じゃあひょっとして『米がなければ麦を食べるが良かろう』とか、マリー・アントワネットみたいなことは言わなかったの? 作り?」
「言ってない。そんなこと言ってたら一揆で国が滅ぶわ。あの時代の農民なめんなよ、半農半武のヒャッハーな人たちなんだからな。つうかマリー・アントワネットの『パンがなければお菓子を食べればいいじゃない』てのも作りだぞ。……晋の恵帝が『米がないなら肉を食え』て言ったのは史実だそうだが。そういえば江戸時代にも米がないなら犬を食えとか言って大ひんしゅくを買ったお奉行がいたな。……て、そんなこと今はどうでもいい」
なにやら話が脱線しそうになったのを自覚した秋芳は話をもとにもどす。
「早すぎるとか自分にはまだ無理だとか言っていたらいつまでたっても上達しないぞ、最初からあきらめたりするな。おまえの夢を妨害する最大の敵は自分自身と思え。自分さえくじけることがなければ、たとえどこのどいつが邪魔をしてきても、やりとげることができるんだ。逆に言えば自分がくじけちまえば世界中の人達すべてから応援されても夢を実現することはできない。さぁ、春虎よ。自分の夢をもう一度思い出せ。その夢をかなえることから遠ざかるような言い訳を自分自身でしちゃいないか? どんなに達成することが簡単な目標であっても『たら』『れば』を言っているようだと永遠に達成することはできないぞ。独立しようと思っていても自分に力がつい『たら』やろうと思っているようじゃ独立なんかできっこない。一定の条件下でないと望むことができないと思い込むのは自分に枷をはめる行為だ。演技の経験がないので芝居ができない人は芝居がほんとうにしてみたいのであれば、やってみればいい。それをせずに芝居をしろと言われ『たら』やります。なんて言っていたら、いつまでたっても舞台に上がれない。自分からやると言えば言いだけだ。やってみればいいんだ。そして失敗をたくさんして、そこから多くを学べば良い。『たら』『れば』を使って夢を後まわしにするな。あきらめるな。今の状況を作ってるのは自分自身だ。打開することができるのも自分自身だ。『たら』『れば』はただの言い訳だ。できない自分を正当化するだけの乙種言霊だ、呪いだ、呪詛だ。やりたいことがあるのなら『たら』『れば』を使わずに今すぐ実行あるのみ! 行動を起こすことこそが夢を実現させるための一番の近道なのだ!」
「お、おう」
「はい!」
春虎よりもむしろ桃矢のほうが秋芳渾身の長口上に感銘を受けた様子で力強くうなずいた。
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