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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
ある夜のふたり〜月語り〜
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のさ……。三日だけ、あと三日だけでいいから見逃してくれないかな」
「……なんで三日なんだ?」
「明日の深夜、ボクがすごい楽しみにしてるアニメの最終回なんだよね」
「…………」
「すっごい面白いアニメでさ、1話を見た時は、なんかちょっと面白そう。程度だったんだけど、3話のマミさんが首ちょんぱされるシーンで一気に引き込まれて、それからも見続けるうちにどんどん評価が上がってさ。特に10話は見てて圧倒されちゃった。これまで納得いかなかったほむらの言動の数々には、ちゃんと意味があったのかを知った時はもう愕然としたよ。このアニメは傑作じゃない、大傑作だ! て――」
「…………そのアニメ、俺も見てる」

 物心ついた頃から修行修行の日々を送っていた秋芳だったが、山を下り京の町に住んで一人の時間を自由に使えるようになってからは道楽に目覚めた。
 ありとあらゆる娯楽を犠牲にし、すべてを修行についやしていた反動からか、映画や読書に始まり、音楽、演劇、歌舞伎、能、落語、釣り、スポーツ、料理、ゲーム、華道、香道、茶道、インターネット……。
 などといった各種の娯楽に触れ始めて楽しんでいたのだが、アニメ観賞もまたそれらにふくまれていた。

「俺はキャラとしては杏子が好きなんだよ。なんというか一番性格が合う気がする。でもさやかが不憫で不憫で……、だから選ぶとしたらさやかかな」
「時間を遡ってキュゥべえの星をぶっ壊しに行くってのは?」
「なるほど、そのためのほむらの能力か」
「9話のエンディングは泣けたな」
「歌詞が深いよね。読み解いていって何度も聴き入っちゃう」
「情感たっぷりに歌うから好きだ」
「あの人の歌は『アオキキヲク』が一番好きかな、それと『Before the Moment』は隠れた名曲だね」
(しるし)も良いな。俺は和系が好きなんだよ、陰陽座みたいの歌ってくれねーかな」
「陰陽座のコピーバンドで陽炎座ってのいそうだよね」
「あー、いそう。ありがちだな」

 小一時間ほど雑談したあと、『あさってここで、まどマギの話をしよう』そう言ってわかれた。





「――以上、月にまつわる思い出話でした」
「ねぇ、ひょっとしてその化け狸って、笑狸ちゃん?」
「そう」
「ちょっと! 月っていうか二人のなれそめ話じゃない! なにさらっと語ってるのよ」
「おいおい、なれそめって恋人同士に使う言葉だぞ……」
「そんな出会いだったのね、二人は……」
「ああ、出会いはいつだって唐突だ。そして恋もな」

 くしけずるように京子の髪をなでて、よせる。

「ひと目惚れだった」
「あたしは、ふた目惚れくらいだった、かな」

 いつ好きになった。などとは聞かない。今、そしてこれからも好きでいてくれるならそれでじゅうぶんだか
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