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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
ある夜のふたり〜月語り〜
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絶景だったな。銀沙灘と向月台のある銀閣寺で月≠ニ銀≠前面に押し出すのはなかなか良い選択だ、悪くない」
そう言って本堂の前に広がる枯山水を指さす。白砂が波状に盛られている銀沙灘と円錐型の向月台があった。
この銀沙灘。月の光を浴びると銀色に反射し、たいそう美しいという話があるが、夜の拝観はないため真偽のほどはさだかではない。
では今夜、この時、幻ではない本物の月に照らされた銀沙灘はどうかというと、たしかに月光を浴びほのかに輝くさまは美しいが、さすがに先ほどの幻には派手さで劣る。
「あと月の怪物もリアルだった」
「そうでしょ。それなのにどうして……」
「本物の池なら上空や対岸の光景が水面に正反射して映るが、それがなかった。バケモノ月の姿がなく、普通の月が浮かんでいたからおかしいと思ったんだよ。見鬼でさぐる以前の問題だ。肉眼でもあやしいとわかる」
「そうだったんだ、次からは気をつけないと……」
ラグが走る身体をのっそりと動かしその場を逃れようとする化け狸の動きを秋芳が制す。
「俺は相互主義者だ。生き胆を喰らうなどと命を狙ってきた相手を見逃すほど甘くはないぞ、覚悟しろ」
秋芳の指先が縦横に交差し、虚空をなぞるとマス目上の軌跡が輝く。九字を切ったのだ。そこに込められた呪力は目の前の化け狸を修祓するのにじゅうぶんなものだった。
「わわわっ、命ばかりはお助けを!」
そう言うとドロンと煙につつまれ、一人の少女の姿になった。
肩口まである柔らかそうな明るい茶髪にアーモンド型の瞳、華奢だが丸みをおびたしなやかな肢体をタンクトップとデニムの短パンでつつんでいる。
「ねぇ、お願い。見逃して! もう二度とこんなことはしないから……」
ひざまずいてこちらを見上げ、両手を胸の前で合わせ涙を浮かべて懇願する可憐な少女の姿に心を動かされない者は少ないだろう。だが――。
「俺に美少女無罪は通用しない」
「ふぎゃっ!?」
放たれた呪力が命乞いをする少女を容赦なく打ちすえた。ラグが走って一瞬だけ野獣の姿にもどった化け狸がふたたび人の姿になる。
こんどは長い黒髪をした大人の女性だ。簡素な白いブラウスとスカートという姿だが、先ほどの少女よりもはるかに豊満な身体をしていて、飾り気のない装束が逆にその肢体の凹凸を際立たせ、メリハリの利いた身体の線がむっちりと浮き出ていた。
「お願い! 助けて! あなたは無抵抗な者を殺そうとするような残酷な人じゃないでしょ!?」
「くどい」
「ぐぎゃっ!?」
「見えすいた色仕掛けの命乞いが通用するわけないだろう。おとなしく修祓されろ」
二度も祓魔の術を喰らい、ボロ雑巾ならぬラグ雑巾状態になった狸の口からはなお延命を願う言葉が漏れる。
「あ、あ
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