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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
ある夜のふたり〜月語り〜
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金気のいずれかに属す。今回は木気の風だ。風に乗った火行符が火を放ち、火炎が渦を巻く。炎の竜巻から灼熱の石弾が飛び散ったかと思うと――。
 相生効果により威力を倍々化させた呪符の舞いが百鬼の群に甚大な被害をもたらした。

「洛中の陰陽師ここにあり! 狭蝿なすもののけども、捕まえられるものなら捕まえてみろ!」

 身をひるがえし、路を駆ける。

「おのれなめげなまねを、ゆるさぬ!」
「とりて喰らわん!」

 おびただしい数の妖怪達がその後を追いかけ消えていく。
 やがて妖怪達の怒号や悲鳴は次第に遠ざかり、結界にひそんでいた四人はほっと胸を撫で下ろして生きた心地を取り戻した。





 咲耶達が隠れている場所からじゅうぶんに離れたのを確認した秋芳は攻勢に転じた。

「臨、兵、闘、者、皆、陣、列、前、行!」

 九字を切ると同時に四縦五横に足を運び反閇を踏む。刀印を結んだ指が空を切るたびに、足を一歩踏み出すごとに呪力が拡散し、邪気を祓う剣となり瘴気を防ぐ盾となり、群がる百鬼を打ちすえる。
 たちまち数十体の妖怪がその身にラグを生じさせて消え失せた。さらに――。

「禁妖則不能在、疾く!」

 あやかしを禁ずれば、すなわち在ることあたわず。弱ったところを強引に呪殺し、一体一体確実に修祓していく。
 ここな陰陽師手ごわし。
 血肉を喰らわんと殺到していた妖怪達だが、思わぬ反撃に包囲の輪がくずれる。
 そのすきをついてさらなる術を展開。

「バン・ウン・タラク・キリク・アク!」

 刀印で五芒星を描き、足もとにむけて放つ。秋芳を囲う形で光の呪印、五芒星が煌めく。

「こしゃくなまねを、うちてしやまん!」

 力自慢の大入道や鬼が打ちかかるが、五芒星の結界はびくともしない。

「痛し!」

 それどころか結界の霊気に弾かれ、逆にダメージを受けている。堅固な障壁で守りを固め、安全を確保したのち、呪文を唱える。

「あんたりをん、そくめつそく、びらりやびらり、そくめつめい、ざんざんきめい、ざんきせい、ざんだりひをん、しかんしきじん、あたらうん、をんぜそ、ざんざんびらり、あうん、ぜつめい、そくぜつ、うん、ざんざんだり、ざんだりはん!」

 長い。あまりにも長い呪文詠唱。だが周りの妖怪達は結界にはばまれそれを阻止することができない。
 術の締めくくりに柏手を打つ。
 パンッ! と両の手の平を打ち合わせた瞬間、秋芳を中心に呪力が爆発した。周囲に衝撃波が走る。
 神仙道系の遠当法。こんにちでは帝国式陰陽術――土御門夜光が軍事用に再編成した呪術体系――に属する、きわめて攻撃的で強力な呪術。
 まわりにいた妖怪のほとんどが消し飛び、残ったものもほうほうの体で逃げ出していく。これでしまいかと思
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