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レーヴァティン
第二十九話 怪盗その六
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「だからな」
「それで、だよね」
「あんた逃げられないぜ」
「ううん、鎧も盗めそうにないし」
「どうしようもないってこった」
「まさに袋の鼠だね」
「そうさ」
 その通りだというのだ。
「覚悟しなよ」
「ううん、捕まるしかないかな」
「鎧はこの通りだよ」
 見れば今もレーヴァティンの青い炎に包まれている、上だけは防がれてはいないがそれでもだ。
「獲れないぜ」
「うん、遠隔で獲れる力はおいらにはないしね」
「力か」
「ああ、おいらもなんだよ」
 声は自分から言ってきた。
「あんた達と同じでね」
「外の世界から来たか」
「大盗賊さ」
 笑い声と共に久志に言ってきた。
「この世界一のな」
「盗賊だったか」
「今は怪盗だよ」
「そう名乗ってるんだな」
「そうさ、いやしかしその怪盗もね」
「こうなったら終わりだな」
「ルパンでも蜃気楼でもこうなったら」
 ふとだ、声の主は西岸良平先生がかつて描いていた怪盗ものの主人公の名前も出してきた。
「観念するしかないね」
「その通りだよ」
「じゃあここはお縄になるしかないね」
「多分このままお縄になったらな」
 今度は正が声の主に言ってきた。
「あんた色々盗んできたんだよな」
「うん、いいお宝をかなりね」
「貴族だの僧院だの騎士団からな」
「偉いさんばかりから」
「かなり罪が重い筈だからな」
 だからだというのだ。
「死罪だな」
「そうだろうね」
「縛り首か」
 この死罪になるのではというのだ。
「魂も消されてな」
「ううん、まずいね」
「そうなりたくないよな」
「おいらにしてもね」
「それにあんた多分な」
「外の世界から来たから」
「この世界を救う十二人の一人だ」
 正は声の主に言った。
「なら俺達と一緒にな」
「冒険に加われ、だね」
「そうしたらどうだい?」
 こう話して誘いをかけるのだった。
「いいな」
「そうだね、このまま捕まったら」
 声の方も言ってきた。
「ここの団長さんに突き出されて」
「騎士団だから法律には厳しいぜ」
 騎士団もまた軍隊であるからだ、軍規軍律が厳正でなくてこうした組織の規律は保てるものではない。
「そしてな」
「裁判にかけられてだね」
「縛り首だよ」
 そうなってしまうというのだ。
「それで魂も消されるんだよ」
「そうなる位ならだね」
「俺達と一緒に来いよ」
 正は声の主に誘いをかけた。
「そしてな」
「そして?」
「まずは姿を見せてくれるか?」
 誘いはこれだった。
「そうさせてくれるか?」
「姿見せて捕まえるとかはしないからな」
 このことは久志が約束した。
「絶対にな」
「約束するんだ」
「ああ、俺もこの世界じゃ名が知られてきた」

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