3・駒王学園
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気品がありながら、子猫と比べるとませた感じの少女が教室にはいるやいなや、凰蝶たちのもとへ近づいて来て挨拶を交わした。
「おはよ、レイちゃん」
子猫とギャスパは親しげに挨拶をした。が、凰蝶はその少女にぺこりと首を上下しただけだった。
レイベル・フェニックス。それが挨拶をしてきた少女の名前だ。
どういう訳かこの少女が、一誠の何のマネージャーかは知らないが、凰蝶にとっては驚きである。
それに学校へは、あまり顔を出さないが、兵頭家に凰蝶達と住んでいる。
兵頭家に下宿を始めるために引っ越した時に、レイベルにいきなり難癖をつけられた時からあまりいい印象が凰蝶にはなかった。
「あなたも鳳凰の名。フェニックスがついているのですね。だけど、私達、フェニックス家には何も関係なそう」
と、レイベルは鼻で笑った。
(なんのことだか、さっぱりわからない。それにフェニック家って何?)
当時、そんなことを言われて凰蝶は苦笑したものだった。悪い子ではなそうなのだが。
「久しぶりに登校してきたんだね、レイちゃん」
ギャスパーは、はにかんでレイベルに言った。
「そうですわね。まぁ、私程になれば学校など来なくても全然平気なのですけど、一誠様にお仕事以外でもお話出来るのは学校だけですので」
レイベルは頬を赤らめていった。
「へぇー。じゃあ、来なければいいのに」
子猫は眼を細め、ぼそぼそとした話し方で嫌味を言った。
「なんですって?子猫さん。あなたのようなぺったんこの胸では一誠様は満足できませんことよ」
レイベルはその嫌味に対して子猫をさげすむような眼を向け、貴族が持つような扇子を口に当ててクスっと笑った。
(やれやれ、また始まった。この二人、仲がいいのか悪いのか)
凰蝶はその様子を見て一つため息をついた。
「凰蝶ちゃん、二人をとめてよ」
ギャスパーはおろおろしながら凰蝶に救いを求めている。
(放っておけばいいのに)
そう思いながら凰蝶は二人の間に入った。
「はいはい、そこまでだよ。子猫ちゃん、レイベルさん。もうすぐ、先生来るから」
凰蝶の仲裁に二人はすねるように眼をそらした。
「今度こそ、きっちり、くっきり決着をつけさせていただきますから。覚悟しておいてくださいまし、子猫さん」
子猫に背を向けてレイベルは言った。
「望むところです、レイベルさん」
子猫もレイベルに背を向けている。
(やれやれ、一誠先輩のどこがいいのかしら?)
間に入っている凰蝶はもう一つため息をついた。
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