180部分:TURN18 ガメリカ共和国その二
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TURN18 ガメリカ共和国その二
「無論祖国殿にもだ」
「では後はお任せ下さい」
日本妹がだ。宇垣の前に出て来た。大使館はその国の領土扱いなので国家ならば自由に行き来できるのだ。それも瞬時にできるのである。
だから宇垣の前に出て来てだ。日本妹は言うのだった。
「宣戦布告等は私が行います」
「頼めますか」
「はい、そうしたことならば」
「済まぬな。祖国殿達には迷惑をかける」
「いえ、宇垣さんにはいつもお世話になっていますし」
日本妹だけでなく彼女の兄にしてもだ。実は宇垣は嫌いではないのだ。むしろ彼の実直で生真面目で面倒見のいい性格をだ。彼等は好いているのだ。
それ故にだ。日本妹は真剣な顔で宇垣に述べた。
「ですから必ずです」
「そうですか。それでは」
「お任せ下さい」
こう宇垣に応える日本妹だった。彼等は覚悟を決めていた。
だがホワイトハウス、そのガメリカの国家元首の官邸では違っていた。その大統領質むしるでだ。白い髪に太った広い額の顔を持つ浮かない顔の初老の男がだ。こんなことを言っていた。
彼は今大統領の椅子にいる。そこで書類のサインをしながらだ。こう前にいる補佐官達に述べていた。
「正直なところ私はだ」
「はい、日本との戦争は構わなくともですね」
「ソビエトとは」
「あまり揉めたくはないのだがな」
彼、フランク=ルーズはやはりソビエトには好意的だ。彼は補佐官達にその理由も話した。
「共有主義はだ。全て肯定はできないがだ」
「頷ける部分もある」
「そうだと仰るのですね」
「そうだ。だからだ」
その共有主義を掲げるだ。ソビエトともだというのだ。
「あまり衝突すべきではないと思うが」
「ですが祖国さんもですし」
「四姉妹の方々も」
「そうだ。大統領であってもな」
国家元首、そうであってもだというのだ。
「全てを決定できない」
「それが政治ですね」
「それが現実ですね」
「そんなことは就任前からわかっていたがな」
ルースは眉を曇らせて部下達に述べる。
「だが。しかしな」
「我が政権は四姉妹の援助を全面的に受けています」
「そして何よりもです」
「主要な長官は全て四姉妹の出身者だ」
これがルース政権の特徴だった。ガメリカの歴代政権の中でも財閥の影響がとりわけ強いのだ。
そしてそれ故にだった。今もなのだ。
「彼女達の意向を無視できない」
「その後ろにいる財閥の意向も」
「全てですね」
「そうだ。ではそろそろだな」
ルースは部屋の壁にある時計を見た。近代的なシンプルかつ機能的な時計だ。
その時計の時間を見てだ。彼は言った。
「祖国殿達と四長官が来るな」
「はい、間も無くです」
「会議室に向かいましょう」
「そうするとしよう」
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