似た者同士
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ードワークに行ったピッチャー2人がサボって食事してたらしいわよ」
「あぁ、なるほどそれで」
自分たちも経験があるから怒るに怒れなかったのかと納得する。するとにこはその武勇伝をさらに語り出した。
「にこの情報だと、近くにある食べ放題の焼肉屋で孔明さんと光さんが食べてたらしいんだけど、あまりにもたくさん食べるからお店から「もう勘弁してください」って連絡が学校にあったらしいわよ」
「どんだけ食べてるんや!?」
食べ放題店では元を取ることすら大変なはずなのに、お店が悲鳴を上げるほど食べるとはにわかには信じられない。ただ、甲子園で優勝するレベルの2人の投手ならそれくらいはと納得してしまう。
「私たちもそれくらい食べた方がいいのかな?」
「野球は体が大きい方が有利って言うしね」
「凛ラーメンならいくらでも食べられるよ!!」
「お前ら真面目に練習しろ!!」
お喋りが止まらなくなってきた少女たちに怒声を上げる。怒られた彼女たちは取り繕うように練習へと意識を戻していった。
「初戦履聖舎に7対0・・・順調に仕上げてきたみたいだな」
音ノ木坂の2回戦の日、前日までに1、2回戦を終えたUTX学園のA-RISE並びに他のレギュラー陣数人はライバルとなり得る可能性のある音ノ木坂の試合を見に来ていた。
「大勝したって言っても履聖舎が勝手に自滅したんでしょ?それで打撃のリズムも崩れたんだろうし」
感心している他のメンバーと異なり辛口なのはエースの綺羅ツバサ。その言葉に頷きつつ、スタンドに入るとスコアボードを確認する。
音ノ木坂 200 312
広劉 000 10
「6回表が終わった時点で8対1。あと2回0で抑えるとコールドが成立するな」
「予選と少し打順が変わってるわね。あの小さい子が5番に入ってるんだ」
現時点でコールド間近の得点差となっている試合。その後、マウンドに上がったエースがランナーを許しながらも無失点に抑えたことでますますそれが現実味を帯びてくる。
「少し速くなったかしら、小泉さん」
「120kmに届くかもしれないわね」
1ヶ月ほどしか経っていないのにぐんぐん成長していくライバルに、英玲奈が試合終了後の整列で言った言葉を思い出す。
「本当に決勝まで来るかもね、あの子たち」
「楽しい試合ができそうだな」
「それは無理だな」
やる気が上がってきている一同に水を指す声。その正体はUTX学園の監督、西村だった。
「はっきり言おう、このままなら次もうちが絶対勝つ。絶対にな」
まだわずかな時間しか見ていないのに確信を持ったかのように宣言する西村。その言葉の意味を知るものは、ほとんどいなかった。
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