第十九幕:夏の海に弾む虹
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七夏「その『もう』じゃなくて、さっき、弱肉強食とか話してたのに・・・」
心桜「ん? だから、あたしが遠くに飛ばしてあげたんだよ」
七夏「え!?」
心桜「だって、たぶん人間の方が、ヤドカリより強いよ・・・あたしは、食べないけどね☆」
笹夜「心桜さん・・・この場合、流石・・・で、いいのかしら?」
心桜「あ! 笹夜先輩! お疲れ様です!」
七夏「笹夜先輩! 疲れは取れましたか?」
笹夜「ありがとう。お休みして、少し楽になりました♪」
七夏「良かった☆」
笹夜「時崎さんが、そろそろ帰る時間だから、二人を呼んできて・・・って」
心桜「え!? もうそんな時間? お兄さんは?」
笹夜「お片付けをしてくれてます♪」
七夏「あ、私もお手伝いしなきゃ!」
心桜「そっか。んじゃ、戻るとしますか!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
時崎「お! 三人とも、お疲れ様!」
七夏「お疲れ様です☆」
心桜「お疲れ様ー!」
笹夜「お疲れ様です♪」
七夏「柚樹さん、私も手伝いますね!」
時崎「七夏ちゃん、ここは俺一人で大丈夫だから、三人とも着替えてきなよ」
七夏「え!? お手伝いしなくて、いいのですか?」
時崎「ああ。もう殆ど片付けてるから」
七夏「ありがとうございます☆」
心桜「お兄さん、ありがとね!」
笹夜「ありがとうございます♪」
海への名残惜しさは・・・また、こんな風に四人でお出かけできればいいな・・・と、思う俺の気持ちと重なるのを実感する。そんな俺の思いを余所に、民宿風水に戻る三人は、とても楽しそうにお話していたが、しばらく見ていると、高月さんが時折少し曇った表情を見せている事に気付いた。
時崎「高月さん?」
笹夜「はい!?」
時崎「今日は、疲れた?」
笹夜「いえ、とても楽しかったです♪」
時崎「そ、そう・・・良かった」
笹夜「すみません・・・少し、考え事をしてしまって・・・」
高月さんは、俺が気に掛けたことを読み取っていた。もしかすると手の力が強い事と関係があるのかも知れない・・・。
時崎「考え事!?」
笹夜「ええ。私、今日、時崎さんと一緒にいる七夏ちゃんを見ていて、私達と居る時と少し違うなって・・・」
時崎「え!?」
それは、俺が天美さんや高月さんと居る時の七夏ちゃんを見て、同じような事を思っていたのと通ずる。
笹夜「上手く言えないのですけど、幸せと、少し不安を合わせたような感じ・・・かしら?」
時崎「不安!?」
笹夜「・・・はい」
幸せと不安・・・幸せだけなら素直に喜べたのだが、その後の不安という言葉が引っかかった。俺は七夏ちゃんには幸せであってほしいと思っている。そして、そうなるように意識して行動したつもりだ。七夏ちゃん自身も楽しそうなので、これでいいと思ってい
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