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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 5
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『はやくはやく、はやくして! 来るっ来るっ、もう来ちゃうっ』
かなり切羽詰まった声色だ。
「……今の科白、なんかエロいな」
『こんな時にふざけてると、あとでぶっとばすわよッ!!』
「京子、いざとなったらありったけの水行術をぶつけるんだ。如来眼の、自分の力を信じろ。霊脈は大地の力、地球そのものの力を借りることができる。当代最高と最強の陰陽師が相手でもおくれはとらない」
『んもう、他人事だからって気軽に言ってくれるわね〜』
「どんな難局にあっても悲観しない。いつだったかそう決めただろ」
以前、たがいの家に家訓はあるのかという話をしたことがあった。賀茂にも倉橋にも特に決まった戒めや教えもなかったので、二人はたがいの家の新家訓をたわむれにいくつか作ってみたのだ。
お年寄りには優しくする。自分より弱い者をいじめない。出されたご飯は残さず食べる――。といったあたりさわりのないものから、礼を欠く者に礼はいらない。恩は二倍にして返せ、怨みは一〇倍にして返せ。人を褒めるときは大きな声で、悪口を言うときにはもっと大きな声で。初対面の人を呼び捨てにするやつは動物の仲間だから返事をする必要はない。反撃という語句はあっても逃走という語句はない――。
などという少々攻撃的で意地の悪いものなど考案したものだ。
それら新家訓の一つに、どんな難局にあっても悲観しない。というのがあった。
「京子、君は絶対に傷つかない。だいじょうぶだ」
『せめて君は絶対に俺が守る≠ュらいのこと言って、次の瞬間に駆けつけて欲しいものね』
「守られるだけのお姫様がお望みかい?」
『まさか、あたしはそんな前時代的な女子じゃないわ。むしろあたしがみんなを守る!』
「その意気だ」
『あたしがみんなを守るから、あたしくらい秋芳君が守ってよ』
「とうぜんだ、君が死ぬときは俺が死ぬ時だからな」
禁陣則不能迷、疾く! 陣を禁ずればすなわち迷うことあたわず。秋芳は八門法陣を強引に禁じて突破した。
「今から合流するまでのあいだ、一分経過するたびに君のお願いを一つ聞く」
『え! ほんとう!?』
「ほんとうだ。だからもう少し持ってろ」
『そういうことならあと一時間は粘ってやるわ。まず秋芳君が知っていて、あたしがまだ知らない呪術を全部教えてちょうだい、出し惜しみはなしよ。あとサラド・ニソワーズが食べたい。それと今度遊園地に連れてって。それに高くなくてもいいからアクセサリーとか買ってくれたらうれしいな』
「おいおい、まだ一分も経ってないだろ」
あらためて一歩を踏み出した秋芳だったが、危険な気配を察して大きく飛びのいた。
秋芳がいた場所に紅蓮の火柱があがり、床のタイルを弾き飛ばし、天井を焼き焦がす。巻きおこった熱風が肌を突き刺す。火界咒による遠
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