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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 5
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命令でほとんど破棄させられたが、八王子にある陰陽庁管轄の倉庫に研究資料という名目で何体か保管されている。
いわば呪術によって造られた戦車だが、この可動護摩壇も対霊災用に特化した戦車≠ニ呼ぶべき代物だった。
「ひどいな、こりゃ……」
目の前の惨劇を見て秋芳は独語した。
惨劇。そう、惨劇だ。
霊災の修祓にもかかわらず、ついつい惨劇などと言う言葉が浮かんでしまうのは感傷的すぎるだろうか? だがあまりにも一方的な力による蹂躙、それも生身の人間ではなく機械をとおしておこなわれるそれは残酷のひとことにつきた。
まして今夜は人造式を通して京子の率いるやけに人間的な霊災に接している。
彼らに対して同情の念を抱き、助けたいという思いすら湧いた。
もともと修祓というのは均衡をくずして瘴気となった霊気を本来の姿に戻す儀式であり、迅速かつ効果的だからと、このようなやり方はいかがなものか。
そもそも技も術も魂も宿らない鉄の塊での修祓など邪道――。実際は操縦するのに技術が必要だし、生身の人間が込めた呪力で動いているので魂が宿っていると言えなくはないのだが、思わずそのような考えが秋芳の頭に浮かんだ。
「……現場の連中にわけを話して通してもらおうと思っていたが、そういう雰囲気じゃないな。こりゃあ下手に姿を見せたら霊災とまちがえられて即座に攻撃されかねないぞ。しょうがない、宮地室長に直接かけあうか……」
しかし修法儀式に没頭している呪術師に声がとどくだろうか? 儀式中の呪術師というのはそれに没頭して外界とまったくコンタクトとれない状態になっていることが多い。
最悪力づくで火界咒を阻止することになるかもしれない。
穏形を駆使して都庁内に潜入した。
都民広場という名前がついた半円形階段状のスペースを通って第一本庁舎のホールにたどり着く。
都庁の中は外とはうって変わって静然としていた。
行き先は三十三階。ニュースによればツインタワーにはさまれた場所で宮地室長が火界咒をおこなっているはずだ。
階上へ行くエレベーターを探そうと一歩踏み出したとたん、呪的トラップが発動。ホール内を呪力がつつみ、秋芳の身を覆い隠した。暗灰色の濃霧が立ち込めたかのように視界が悪くなる。
遁甲術の八門法陣。
儀式にかかりきりになる術者の身を護るための結界だろう。秋芳は即座に術式を視た。表で猛威をふるう火界咒と同じ霊気を帯びていた。つまり宮地の術によるものだ。
「……かなり即席で用意したみたいだな、これなら力業でも突破できる。……宮地室長。あんがい火炎系統
以外の術は苦手だったりしてな」
『秋芳君っ、もう五分どころか一〇分は経ったわよ! 目の前にすっごい大きな火が燃えてるの、はやくどうにかして!』
「今、一階だ。すぐに上がる」
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