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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 5
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陽師たちは霊災修祓をより効率良くするため陰陽寮の大規模な改革をおこなった。そして一般社会とのつながりの希薄な呪術界そのものを公の社会機構に取り込むことにしたのだが、その第一歩が呪術および呪術者への法の適用、規制だった。
 これはかつては軍属であり、そして日本の深い闇を引きずる呪術界に法の光をあて、明らかにすることを意味していた。そのようにして成立されたのが半世紀経った今もなお呪術界を規制し、統制している陰陽法だ。
 この法律の基本理念は『霊災の修祓』に特化しており、その目的のために呪術というあいまいで繊細なものを強引に定義させ縛り上げたものがこんにちの陰陽法といえる。
 そのため現在の陰陽師の活躍の場は社会全体のごく一部に限られてしまい、多くの呪術師たちはその境遇に不満をいだいていた。戦後、あらたな陰陽師像の確立には成功したものの、やはり呪術界そのものは他の業界からは隔絶されている。
 このように閉鎖的な状況の打破は陰陽庁の願いであり、近年国会で通過が見込まれる
 陰陽法改正案のおもな目的は陰陽師の職域の拡大、さらなる社会進出。陰陽庁の権限の強化、予算の増加で、さらには陰陽『省』への昇格もふくまれていた。
 そのためには世論の、人々の支持が必要不可欠であり、今回のようなアクシデントは不謹慎だが大歓迎なのだ。

「それで思ったんだけど、例の計画。あれ、修正したらどうかな? 『人』ではなく『霊災』にしたほうが良いかもよ。今さらだけど、呪術師がなんかしでかしたら、絶対ほかの呪術師への風当たりが強くなるよね 」
「いや、彼らには決起してもらう。我々の創る新しい世でくすぶられたままでもこまるからな。それに――」
「それに?」
「呪術の恐怖≠ニ、呪術師の脅威≠世に知らしめることも必要だ。あとあと妙な考えをする輩が生まれぬよう、呪術師を制するのは呪術師のみ。だということを大衆に刻み込ませる必要がある」
「飴と鞭ってわけかい? おっかないねぇ。……ところで」
「うん?」
「この部屋さ、最近妙な人が出入りしているみたいだけど、だれ?」
「今は知る必要はない」
「つれないねぇ、長いつき合いなのにさ」
「そちらにも私に知られたくない秘密の十や二十くらいあるだろう。おたがい様だ」
「へぇ、じゃあ『知られたくない』秘密なんだね」
「そうだ。知った者を生かしてはおけない、そんなたぐいのな」
「おお、怖い! 機密事項に抵触する前に退散することにしよう」
 
 そうだ。たしかに自分は彼に、倉橋源司に秘密にしていることがある。
 それを知られれば自分はただではすむまい。そのくらい大きな、そしてとびきりたちの悪い秘密が。
 あれから自分の研究に没頭して失念していたが、あの子は今ごろどうしているだろう? もし計算通り高い霊力を持って生まれてき
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