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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 5
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『ただ今たいへん混雑しています。のちほどおかけいただくか、このまましばらくお待ちください。ただ今たいへん混雑しています。のちほどおかけいただくか、このまましばらくお待ちください。ただ今――』
「どこのコールセンターだよ、まったく……」
陰陽庁に連絡し、賀茂秋芳という身分を明かしたうえで倉橋京子が百鬼夜行に取り込まれていること、夜明けとともに百鬼夜行は消滅するであろう可能性を説明し、なんなら自分で祓魔する。そう告げようとしたのだが、いっこうにつながらない。
陰陽庁にメッセージを添えた簡易式を直接打とうとも考えたが、それでは間に合わない。
京子の乗った霊脈は刻一刻と火界咒渦巻く東京都庁へ押し流されているのだ。
現場に行って直談判する。
意を決して禹歩による移動をこころみた秋芳だったが、都内を流れる霊脈は倉橋源司の大元帥法によって海嘯や乱気流さながらの様相をていしており、とてもではないがその流れには乗れない。
公共の移動手段はのきなみストップしており、道路は交通規制によってグリッドロック状態だった。
男子寮のある渋谷から都庁のある新宿までは徒歩という原始的な交通手段でもじゅうぶん移動可能だが、それでも一時間近くはかかる。秋芳の軽功をもってすれば二〇分で駆け抜けられるだろう。だが今はそれでも遅すぎる。
なのでもうひとつの原始的な交通手段である呪術をもちいることにした。秋芳は乗矯術を使って夜空を駆け、新宿へといそぐ。もちろん人目につかぬよう禁感功、穏形は怠らない。さらに人造式を介して京子とのやりとりを続け、むこうの状況の把握につとめる。
「おそいっ! はやく来てなんとかして!」
「おちつけ。君の力をもってすれば龍脈の、霊脈の流れを制することができる。たとえ大元帥法であっても抵抗できる」
「もうやってるわよ、それでもすごい速さで流されちゃうの!」
「だいじょうぶだ、かならず間に合う」
京子を落ち着かせるために絶え間なく話しかける。
「……真言。マントラというのは文字そのもの、発した言葉自体に力が宿ると言われる」
「はぁ!? なんなのよ急に」
「若い人は知らないかもしれないが『孔雀王』や『天空戦記シュラト』という作品があってだな。それで真言を知った小中学生なんかが、よく修学旅行先の寺院でテンション上がって『オン・アビラ・ウンケン・ソワカ〜』とか唱えるんだ」
「…………」
「するとそれを聞きつけた坊さんがすっ飛んできて、『そういう言葉をみだりに口にしてはいけない』とか説教するわけだ」
「…………」
「だが『袈裟は、第三生に得道する先蹤あり』という言葉もある――」
袈裟は、第三生に得道する先蹤あり。その昔ある遊女がたわむれに袈裟を着てふざけたのだが、袈裟に触れた功徳で来々世に悟りをひらくことができた
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