179部分:TURN18 ガメリカ共和国その一
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TURN18 ガメリカ共和国その一
TURN18 ガメリカ共和国
宇垣は今はガメリカ共和国の首都ワシントンの日本大使館にいた。しかしだった。
彼は非常に浮かない顔をしていた。その顔で周りにいる外務省の者達にこう話していた。
「全く以てだな」
「はい、向こうの返事ですが」
「これは最早」
「こんなものを帝にお見せするとはな」
憤懣やるかたない顔でだ。彼は外務省のスタッフに話す。
「これではだ」
「最早ガメリカとの戦いは避けられないですね」
「この要求では」
「そうなるだろうな。こんなものは飲めん」
その要求についてだ。彼は言っていく。
「少なくともわしはだ」
「賛成できませんね」
「外相としましても」
「こんなものを飲んでは日本はガメリカの奴隷になる」
宇垣は言った。忌々しい顔での断言だった。
「そして単独でだな」
「ソビエトと戦うことになりますね」
「あの国と」
「我々に泥沼の戦いで消耗せよと言っているのだ」
ガメリカの真意をだ。彼は理解していた。だからこそ言うのだった。
「奴等が太平洋の利権を独占してな」
「そうですね。ただガメリカの大統領ですが」
「ヘンリー=ルース大統領ですが」
外務省の者達は彼の名前を出した。彼等が今いる国の国家元首をだ。
「ソビエト寄りの人物と聞いていますが」
「それでもソビエトを我が国にぶつけるというのですか」
「あの大統領だけで全てが決まるものではない」
国家の政策の決定は国家元首の意向だけで決まるものではないのはガメリカも同じなのだ。そこにはさまざまな人物や勢力が関わるのだ。
それでだ。宇垣は言うのだった。
「大統領がそうでもだ」
「国家や四人の長官達はですね」
「そうではないからこそ」
「この国は資本家の力が強い」
宇垣は今度はアメリカの実情を話した。
「即ち財閥がな」
「特に四姉妹ですね」
「四人の長官達の実家が」
「資本家が共有主義を許す筈がない」
「そうですね。私有財産どころか貨幣経済さえ否定していますから」
「共有主義だけは許しません」
ガメリカの国是に反するだけではなかった。共有主義は財閥の全否定である。だからこそ四姉妹もだ。共有主義のソビエトを許さないというのだ。
そしてだ。ガメリカがソビエトを敵視する理由は他にもあった。それは。
「アラスカはソビエトの最前線だからな」
「かつてロシア時代はロシア領でしたし」
「その関係もありますね」
「彼等の祖国であるアメリカ自体もロシアとは仲が悪い」
このこともあった。ガメリカとソビエトの対立の背景にはだ。
「ロシアは我が祖国殿や中国とも仲が悪いがな」
「原始の八国同士であってもですね」
「それでも」
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