46話 サイアム・ビストの最期
[8/8]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
ろが破壊できない。このファンネルですらギレンのケースに傷1つも追わせられない」
ジュドーの問いにハマーンはモニターに映る青い星を見ていた。
「私は現実主義者だ。これでフロンタルに一泡吹かせられるならやるしかない」
ハマーンは人の想い、意思などの曰く付きな与太話を嫌悪していた。生きているひとだからこそできること、できないことがある。死んだものには何もできやしない。
ハマーンはコンソールパネルと格闘して、要塞の動かし方だけを覚えた。
「これで・・・十分だ」
そして要塞を地球に向けて発進させた。ジュドーがその行動に反発した。
「おいおい!この要塞が地球の摩擦熱で焼け切る保障はないぞ!隕石と同じく地球を汚染させるつもりか!」
ハマーンはその心配の無用をジュドーに説いた。
「この要塞がそれで壊れるとは思わんよ。ただ、相手は流石に機械だ。意味はわかるな?」
「・・・水浸しにする気か」
「そうだ。こいつを母なる海へ沈める」
ジュドーは取りあえず納得して、ハマーンの操縦を見守っていた。
これがどんな代物かは互いに知らない。だが、サイアムの言う通りでフロンタルにプラスになるものならばそれが一番良いだろうと思った。
ハマーンはふと思った。完璧に安心なほど油断することに。敵もそうだったようだ。余りに詰めが甘すぎる。サイアムは打算だと言っていたが、正に真を得ていた。
「彼らは油断だと思わなかったのだろうよ」
ハマーンがそう言うとジュドーが少し首を傾げた。
「何の話だ」
「彼らには危機感がないんだ。絶対安全安心と計算し、予想外に対応できない。それは私ら現場で現実を体験してきたものの専売特許だったというわけさ。だからたとえ世界の黒幕と言えども、私らにやられる」
「・・・なるほどねえ。絶体絶命なオレらだと思った奴らの油断か。余りにバカだな」
「そう、意外とバカだった」
身も蓋もない言い方で2人はサイアムを評した。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ