~prelude~
~event after the tragedy~
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ドガアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!
閃光と轟音、続けて爆風。俺が乗り捨てたチャリが木っ端微塵に爆発したのだ。
あの爆弾はやっぱり本物だった−!
熱風に吹っ飛ばされながら、俺たちは−引っ掛かった桜の木にパラグライダーをもぎ取られ、グラウンドの片隅にあった体育倉庫の扉に突っ込んでいった。
がらがらと音を上げ、何にぶつかったのかも分からず……
俺の意識は、一瞬、途切れた 。
……
…………
………………
「う…………っ。痛ってぇ……」
……俺は……
何か狭い箱のような空間に尻もちをついた姿勢で収まっている。
−ここは、どこだ。
俺は確か体育倉庫に突っ込んでしまって……あぁ、分かった。これは 、跳び箱の中だ。どうやら一番上の段を吹っ飛ばして、中にハマってしまったらしい。
しかしなんだろう。身動きが取れない。それはここが狭いせいもあるが、座っている俺の前に、甘酸っぱい香りのする 何か があるせいでもありそうだった。
なんだろうこれは。あったかくて柔らかい。
脇腹を両側から何か心地よい弾力を持ったものに挟まれている。さらに額の上には、ぷにぷにした物体が乗っていた。
「ん……?」
額と頬で、そのぷにぷにした何かを押しのけるようにすると−
−かくん。
俺に押しのけられたのは、
(…………可愛っ…………!)
いい、と反射的に言ってしまいそうな…………
女の子、の顔だった。
女子寮から飛び降り、パラグライダーに乗ったまま戦い、俺を空中にさらって助けた、さっきの勇敢な少女だ。
「…………!」
それで気付く。 俺の脇腹を左右から挟んでいるのは、彼女の太もも。両肩に乗っているのは、腕。
−何がどうもつれあってこうなったのかは分からないが、俺は彼女を抱っこしてここにハマってしまっているらしいのだ!
ありえん。ありえないぞ。女子と、密着しすぎだ。
じわ………… と、俺の体の芯に熱くなった血液が集まり始める。
−ダ、ダメなんだ。俺は。こういうのは禁止なんだ。
「お……おい」
声をかけてみるが答えはない。少女は眠るように、気を失っている。その目を縁取るのはツンツンと長いまつげ。甘酸っぱい香りの息を継ぐピンクの唇は、桜の花びらみたいに小さい。
ツインテールに結われた長い髪は、細い窓から届く光に、キラキラ……と豊かなツヤをきらめかせていた。
髪は……ピンク。珍しい。ピンクブロンドってやつか。
さっきは俺も必死だったから気付かなかったが……カワイイ。 文句なしに可愛い子だ。
まるでファンタジー映画から飛び出してきたような、作り物みたいに可憐な少女。
だが……この可愛さはどちらかというと子供とかお人形さん
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