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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 4
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声はすぐ近く、至近距離から聞こえた。
とっさに跳びすさりながらシェイバによる一閃。と同時にオリジナルの式符を乱打。その一つ一つが猛獣の骨を象り、牙や爪で声の主を強襲する。
手ごたえあり。だがしとめてはいない。
「ナマサマンダ・ボダナン・カロン・ビギラナハン・ソ・ウシュニシャ・ソワカ!」
数ある陀羅尼の中でも極めて強力な尊勝仏頂陀羅尼。鏡の編んだ強烈な密呪が怒涛の勢いで正体不明の相手に迫り、飲み込んだ。
呪力の波が去ったあと、そこには腕を交差させて首から上をガードしている男の姿があった。
ずいぶんと背の高い男だ。鏡も長身だがこの男はもっと背が高い。それでいて筋肉質でプロの格闘家といっても通用するような鍛えられた体躯をしている。
男がゆっくりとガードを下げる。あごの細いシャープな顔立ち。側頭部を完全に剃り、短く刈った髪に鋭角なレンズのサングラスをかけていた。
「……やるねェ」
低い、臓腑に響くような低音の声でつぶやく。今の攻撃を受けてなお平然としている。
やっとまともに戦える、喰うに値するやつが出た。鏡の顔に凶悪な笑みが浮かぶ。もしも肉食獣が笑うことができたら、こんな顔で笑うのだろう。そんな表情だ。
「シェイバ!」
鏡が手にしていた髭切を宙に放った。地に落ちる前、長身でほっそりとした青年がその柄をつかむ。実体化した鏡の使役式シェイバだった。
くせの強い長髪を首筋でたばねた、気の弱そうな優男。だがその目の色は普通ではない。虚ろで空疎。だけども飢餓感にも似た異様な光が宿っていた。
餓えているのだ、血に。
「斬れ」
「ヒャッハー!」
鏡の命に狂喜して髭切を振るうシェイバ。凶刃が男の首筋目がけて振り落とされる。
「ぬうん!」
男の二つの拳が刀身を左右からはさみ、斬撃を止めた。双拳白刃取り。
と、同時に左脚がひるがえり、シェイバの右わき腹をえぐるように蹴る。中段回し蹴りによる肝臓を狙った攻撃。普通の人間なら呼吸困難におちいり、死に体となるであろう急所攻撃も、霊的存在であるシェイバにはただの打撃にしかならない。ラグが走り外観がノイズで歪むが、その霊気に衰えはない。
そしてラグが走ったのはシェイバだけではなかった。斬撃を止めたはずの男の首筋からわき腹まで一直線にラグが生じていた。
刀を物理的にふせいだが、その刀身から放たれた霊気の刃が男を斬っていたのだ。
「ノウマク・サンマンダ・バサラ・ダン・カン!」
強力な呪力がほとばしり、鏡から炎が吹き上げた。炎は伸び上がり、炎の蛇と化す。かま首をもたげて男に襲いかかる。不動明王の小咒だ。
「ますます、やるねェ……」
炎につつまれ全身をラグで歪ませながらも、男はなお平然としている。
「あんたたちをや
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